2006年06月05日

イル トレーノ ナトゥーラ

てことで、カステッリーナ・イン・キャンティに辛くも行けなかったメガネ。
午後の予定がすっぽりと抜けてしまったので、さてどうしたものかと考えて・・・

こんなものに乗ってきちゃいました!
0604.016.jpg
「il Treno Natura nelle Terre di Siena」
「シエナの大地の自然列車」とでも申しましょうか?
こんなちょっと古びた鉄道に乗って、シエナのスタツィオーネ(駅)からMonte ANtico(モンテ・アンティーコ)、Buonconventoを経由して帰ってくる、シエナ南部を巡る観光列車の旅はいかがでしょうか?
ごらんのように、車体も1950年代のものを使っているのだそうですよ?
ね?見るからに古いというか、ボロいというか、味がある列車ですよね?ふふ。

0604.010.jpg
4月から12月までの週末しか運行しないというこの列車。
実はシエナに上陸した当初からその情報を入手していたメガネ。
一度は乗ってみたいなあ・・と思いつつ、ついつい忙しさに忘れてしまっていたのですが・・・。
今日がたまたま日曜日だったことで、突然「あっ!」っと閃いたメガネ。
お昼にインフォルマッツィオーネを訪ねたついでで
「どうやって予約すれば良いのですか?」
と聞いてみたのでした。

インフォルマッツィオーネのお姉さん曰く、「これはね、予約は要らないのよ?」だそうで、
そのまま運行予定時刻を見計らって駅に行ってみたメガネなのです。
とりあえず切符売り場で「このトレーノの切符が欲しいのですが・・」と尋ねると、
「ここでは買えないから、列車の中で買ってね?」との説明を受けたメガネ。
そうなのです。この「イル トレーノ ナトゥーラ」は観光列車のくせに予約も必要なく(ってお姉さんが断言してましたもん)、そのまま列車に乗りこみ車内で切符を買うというシステムなのですね。
イタリアらしいというかなんというか、不思議なシステムなのです。はい。

続きを読む "イル トレーノ ナトゥーラ"

2006年06月07日

カステッロ ディ ブロォリオ

それは、サンタカテリーナの家にお引っ越ししてから二日目の夜の事。

連日の凍える寒さに
「あの、もし可能なら毛布をもう一枚貸して欲しいのですが・・・」
と、バスコじいさんに電話で頼んでみたメガネ(正しくは相棒だけれど)。
「寒いのか?」
と問われ
「はい、寒いんです」
と答えると
「そこに毛布の余分は置いてないのか?」
とまた問われ
「はい、無いんです」
と答えると
「わかった、出先から帰ったらすぐに持って行く」
と電話を切られたのでした。

で、ホントにすぐさま掛け布団を運んできてくれたバスコじいさん(やっぱり頼りになるのです)。
いつもの如く風のようにササッと消えるかと思いきや、
「君たちの仕事にワシはとても興味があるんだけど、どんな仕事をしているのか見せてもらえるかな?」
と予想外のお願いをモジモジとされたのでありました。
もちろん「いいですよ?」と、このHPや相棒の描いている水彩画を披露したところ・・・。
「素晴しいよ!すごいじゃないか!」
と、大変お気に召して下さったらしいバスコじいさん。
「もし君たちに興味があるなら、シエナの近くにあるカステッロ(お城)を見に連れて行ってあげるよ。」
とキラキラした目で言い出したのでした。
あまりに突然の申し出に「ええっ!??」と思ったものの、「もちろん君たちが行きたいのならだけどね」と言いつつ「このカステッロは素晴しいんだよ?」とか「写真に撮ったら絵になるよ?」なんて何度も何度も熱くお誘いくださるので(笑)、
「それでは、よろしくお願いします。」
と答たメガネキョウダイなのでした。
・・だって、ホントにどうしても連れて行きたそうだったんだもん。

そして昨日、アパルタメントの内線電話で「明日9時にね」と告げられた我々。
朝の9時に合わせ、大慌てで準備を整えたのでありました。
しかも、何故か今朝に限って他のラガッツィ達も朝8時頃から起き出してきたものだから、2つしかないドッチャ(シャワー)はもう大混雑。
「もう!いつもは寝てるくせに!遅れちゃうよ!」なんて焦りつつ9時少し過ぎに1階まで駆け下りた我々なのでした(もちろん、9時ジャストにせっかちなバスコじいさんから「用意はできてる?」の催促電話も頂いちゃいました)。

大急ぎで1階の呼び鈴を押したメガネ。
ブーッガチャン!と開いたドアの向こうにはニコニコ顔のバスコじいさん。
「おはようございます!」
と挨拶すると、
「用意は良いかい?じゃあ、車に」
との指示。さすがせっかちさん。
挨拶もそこそこに、アパルタメント前に停めてあるフィアット・パンダの前へ急ぐメガネ。
ドアのガチャンと閉まる音に振り向くと、バスコじいさんの家からヒョッコリ現れたのは、あれ?貴方は確か用務員のお兄さん?・・なのでした。
そしてメガネの前を通り越し、そのままフィアット・パンダに乗り込む彼。
事の成り行きが飲み込めず呆然と立ち尽くす我々に、早く乗って乗って!のジェスチャーです。
「え?あれ?バスコじいさんは???」
と思いつつも、一応車に乗り込んだメガネ。
バタン!とドアを閉めたとたんに、すぐさま車は発進です。
アレレ?動き出しちゃいましたよ??
そうして「?」だらけのメガネと相棒を乗せた白いフィアットパンダは、用務員さんの運転でずんずんシエナの街を進んで行くのでありました。
0606.001.jpg
しばらく車が走ったところで、
「あの、今日はバスコじいさんは一緒じゃないんですか?」
と怖ず怖ずきいてみたメガネ。
すると、
「ああ、来ないよ彼は」
とアッサリ。
ああ、やっぱりと顔を見合わせる我々。
「あの、私たちてっきりバスコじいさんが運転するものと思っていたのですが・・」
と重ねて尋ねると、
「ああ!うんそうだね、でも今日は僕が一緒に行くから!」
とのお答えなのです。
ああ、そうなのですか。そうなのですね。
バスコじいさんはいかにも自分が連れて行くからっ!みたいな言い方をしてましたけど、自分は行かないのですね?と、ようやく理解することができたメガネキョウダイなのでした。
だって、バスコじいさんが「連れて行ってあげる」って言ってたんですよ?

てことで、今日はバスコじいさんではなく、用務員さんと一緒にカステッロまで出掛けていたメガネなのです。
ふうっ、前置きが長かったな。
0606.003.jpg
しばらく走って、町外れに出ると、
ガサガサとおもむろに地図を開き始めたお兄さん。
どうしたのかな、と思っていると
「君たち、このお城には行った事無いんでしょ?」
と彼。
「はい、無いんです」
と答えると、
「実は僕もなんだよね。ふふふ。」
だそうで・・・
って!えええっ!!
バスコじいさん、行った事も無い人を運転手として無理矢理行かせていたのですかっ!?(笑)

とにもかくにも、正しい道すらわからない3人で、お城を目指してレッツゴー!なのでありました。


続きを読む "カステッロ ディ ブロォリオ"

2006年06月30日

パリオ(palio)というお祭りって?

6月の29日、つまり今日から古都シエナはパリオ(palio)一色に染まります。
7月の2日にあるパリオ本番までの4日間、シエナは普段とはガラリと違う顔になるのです。
でもここはパリオのためだけにあると言っても過言ではない街。そう考えると、このたった4日間が本当のシエナに逢える時間なのかもしれません。

さて、「パリオ」がどんなお祭りか皆さんはご存知ですか?
「馬が走るレースがあるんでしょ?」・・・となんとな〜く思っている方は多いはず。
確かに「競馬」ではあるのですが、「パリオ」はただの競馬ではないのです。
なんてったってシエナの人々の1年間の幸せがかかったレースなのですから!!(笑)

パリオの説明に欠かせないのが、これまで数回書いて来た「コントラーダ」。
シエナの街は、この「コントラーダ」(日本で言うならいわゆる町内会みたいなもの)で17区に分けられています。
そして町内会ごとに、ガチョウやサイ、塔やドラゴンといったチームを結成しています。
この「コントラーダ」が、そのままパリオの馬の所属チームとなるのです。
ここで、シエナの人々を燃えさせる要素が一つ。
「コントラーダ」はどのようにして決定するものなのか?
「コントラーダ」は自分で選ぶ事が出来ません。なぜならその人が生まれた場所で決まるからです。
例えばガチョウのコントラーダ、つまりメガネの住むヴィア・サンタカテリーナで生まれた子供は、みんな自動的に「ガチョウ」チームの所属になります。ええ、これは決まりごとであって覆す事は何人たりともできません。
同じコントラーダで生まれた子供達は「コントラーダの子供」として町内会で守られ、そして育てられます。
ここで、日本の町内会を思い浮かべてはいけませんよ?そんな甘い繋がりではないのです。コントラーダの繋がりは血よりも濃い切っても切れない仲なのです。
シエナの人々にとって「コントラーダ」とは第二の家族みたいなものなのですね。
しかも「コントラーダ」は一生替える事が出来ません。
引っ越しをしようが、結婚をしようが永久に同じコントラーダなのです。
そのため別のコントラーダの人と結婚した場合、パリオの時期はチームが対立して夫婦喧嘩が絶えないのだそうですよ?
そんなシエナでは同じコントラーダ内で育った幼なじみと結婚する場合が多いようです。
そう考えると、「コントラーダ」とは小さな街を守る一つの方法だったのかもしれませんね。
また、シエナという街が他の街に比べてかなり安全なのは、街全体がコントラーダごとに守られているからなのだそうですよ。みんなが知り合いの中ではなかなか悪い事なんて出来ませんもんね?
小さな子供から大人までが同じ憩いの場を持つ事で、子供達が非行に走る事も防いでいるんだそうです。
すごいですよねえ・・。
あ、ちなみに今書いている内容は全て生粋のシエナッ子に聞いたお話なのでホントのお話なのですよ?ふふふ。

お話が少しずれてしまったようですねえ。
ええと・・そんな「コントラーダ」が競い合うパリオは、年に2回、7月と8月に行われます。
このレースに参加できるのは17チームのうちの10チームだけ。
他の7チームはレースに参加出来ません。
年に2回パリオに参加できる幸運なチームもあれば、1回だけのチームもあるという事ですね。
そして、このパリオで勝利を手に出来るのは1チームのみ。
そんなの当たり前じゃない?と思われるかもしれませんが,本当に1位かそれ以外かなのです。
2位や3位、「参加賞」なんてものはもちろん存在しません。
そして、勝利の喜びはその後1年間ずううっと味わい続ける事が出来ちゃうのです。
1年間の楽しみのためなら、そりゃあもう燃えちゃいますよね?
しかも自分の家族が競い合う訳ですから、燃えるなと言う方が無理なのです。
これが、シエナのパリオというお祭り。何となくでもわかって頂けたら良いなと思います。

急激に訪れた猛暑のうえ、今日のプローバ観戦で日に当たりすぎてちょっと具合の悪いメガネ、かなりわかりにくい説明になってしまいました。ごめんなさい。
要するにコントラーダ10チームが競馬をし、勝利したチームが1年間の幸せを手に入れられる、パリオとはそんなお祭りなのだな〜と理解して頂ければと思います(笑)。

あ!肝心な事をもう一つ!
それじゃあ旅行者はどうやってパリオを楽しめば良いのか?
これはシエナを訪れる人にはとっても大きな問題ですよね?
もちろん旅行者も自分のコントラーダを持つ事が出来ます。
旅行者の場合もシエナの人々同様、初めてシエナに来て泊った場所が自分のコントラーダとなるのです。
自分のコントラーダを持つ事でパリオ観戦はより面白くなる事間違い無し!
ちなみに、メガネはヴィア・パンタネットに泊ったので「モントーネ(牡羊)」チーム所属。
散々書いておきながら「オーカ(ガチョウ)」では無いのですねえ。ふふふふふっ。

ということで、とっても簡単でわかりにくいパリオのお説明を終ります。
え?やっぱしこれじゃあ駄目ですか???
日本に帰ったらもう少し詳しくわかりやすく説明しますのでしばしお待ちを!!

とうとうパリオ開幕!!

0629.001.jpg
今朝、7時。
いよいよパリオが開幕!!
メガネも朝6時に起きてフラフラしながらカンポ広場まで見物に出かけてみました。

0629.002.jpg
で、そんな朝早くから何があるのかと申しますと・・・。
これこれ。
パリオに参加するコントラーダ10チームが自分たちのチームの馬を選ぶのです。
全部で30頭ぐらいの馬が広場に作られた馬場を練り歩きます。

0629.003.jpg
競馬で言うなら「パドック」でしょうか?(ってあってますか??)
馬主さんに連れられて、コントラーダの主要人物の前をパカパカ歩く馬達なのです。

0629.004.jpg
「どの馬が速そうだと思う?」
「そうだなあ、あれなんていいんじゃないか??」
なんて言い合っているのかいないのか、真剣に話し合う人々。

続きを読む "とうとうパリオ開幕!!"