メガネキョウダイ、食べる

「どうぞ、どうぞ」
と通された先には、こんなテーブルが待ち構えてました。
思わず「わああっ！」と歓声を上げてしまった我々なのです。

こちら、本日お招き頂きました、ローマの御方が親しくされているご家族の方で
通称「坊ちゃんの母」さんなのです。
別にピースしている訳ではありません。２倍になる！のポーズなのです（笑）。
とっても明るくて、話しているとついつい笑いがこぼれてしまう、そんな気持ちの良い御方なのでした。

こちら、本日のシェフAkikoさん。
名前と見た目は日本人そのものなのですが、実は
「日本語は聞くだけだったらだいたいわかるけど、ちょっとしか話せないの・・」
との事。
でも日本語は話せなくとも、イタリア語に英語にドイツ語がご堪能だそうで、メガネは「うはあっ！」とため息なのでした。

さて、まずは第一のお皿。
ペンネ・アル・ポモドーロです。
このペンネ、茹で加減もシコシコっとしてて、お味の方もトマトの風味がすごく生きてて、最高！に美味しかった。

シェフによりますと、ローマの御方が作られた「バジルソースが隠し味なの」ということで、お二人の合作みたいなものだったのですね。お料理上手のお二人だけに、さすが美味しい訳なのです。うんうん。

そして第二のお皿は「トンカツ」。
いわゆるミラノ風カツレツみたいに薄く揚げたカツなのでした。
こちらも、夜の９時を回っていなければもっと頂けたのに・・悔しい・・なメガネなのでした。
ローマの御方の持ち物なのか、ちゃあんとトンカツソースも添えられたのには、クスッと笑えてしまいました。

そして、なによりメガネが気に入ったのが、このズッキーニの炒め物。
口に入れるとトロリととろける感じといい、オリーブオイルとよく馴染んだお味加減といい、大変！！美味しかった！！です。
思わず、何回もこっそりお代わりしていたメガネ。
最後には作り方も聞いてしまいました。
「これは、タマネギを・・・『タリアーレ』ってどう言うんだっけ？えっと『切って』？そして、ズッキーニも・・切って？？オリーブオイルで・・えっと・・たくさんいためて？お水を入れて、ふたをして・・・それで待つの」
とわざわざ日本語で教えてくれたAkikoさんなのでした。凄く可愛らしかったです。


待つ間はお部屋で音楽を聴いてるのが良いそうなのですが・・
「それで焦げちゃうんだよね？」
と「坊ちゃんの母」さん。
「でも今日はちゃんと焦がさなかったでしょ！？」
とAkikoさんも反撃。
焦げなくて良かったな〜、食べられて良かったな〜、としみじみ思ったメガネなのでした。うん、今度チャレンジしてみよう。
もちろん、音楽は無しですヨ？（メガネは絶対焦がしそうだから、ふふふ）

そしてこの夜、我々の食べる量が少ないという指摘から（だって夜の９時を回ってしまったら、そんなに沢山は食べられませんからね？メガネキョウダイの場合（笑））、話題は何故かダイエット話へ・・。
Akikoさんも坊母さんも、みなさん現在ダイエットを敢行中だとか。
「イタリアは食べ物がおいしすぎてダイエットをするのがとんでもなく大変！」
という話でおおいに盛り上がっちゃいました。
そして、メガネがシエナから携えて行ったピエンツァ産のチーズも
「嬉しいけど、太るわっ！！」
と、少しずつ食べる事にしたらしい「坊ちゃんの母」さん。
でも、あまりの美味しさに（ええ、だってピエンツァ産のペコリーノですからね）、Akikoさんの目を盗んでは、また一口。もう一口・・・。
最後には、
「もうおしまいよ！もう駄目！！ここに置いといたら駄目よ、しまっちゃうからねっ！」
と冷蔵庫にしまわれてしまったのでした。
それを恨めしそうに眺めながら、
「きっと夜中にこっそり冷蔵庫を開けるんだわ・・」
とポツリとこぼす彼女に大笑いのメガネなのでした。

嬉しそうに電話をかける坊母さん。
何故そんなに嬉しそうなのか？と申しますと・・・
ローマの御方が親しくしているという通称「猫パパさん」に、メガネ持参のチーズを「食べる？」と聞くために電話をしているからなのです。
実は、「猫パパさん」なる御方もダイエット敢行中なのだとか。
でも、ピサ出身だと言う彼はトスカーナのチーズに目が無いそうで、一応念のため食べちゃいけないだろうけれども、聞いてみているのでした（笑）。

「もしもし、私よ？今ね、と〜〜っても素敵な香りのするお土産があるのだけれど・・・」

の言葉から始まり、我々がペコリーノを持って来た事を伝える坊母さん。
数分後、プチリと電話を切った坊母さんは
「食べるって！」
と満面の笑み。
これで「猫パパさん」もダイエット中断ですか？！！道ずれ？？道ずれですねっ？！！
あまりのおかしさに、笑いが止まらないメガネキョウダイ。
ダイエットに悪影響を及ぼす品を手みやげにしてしまい、大変申し訳ございませんでした。（笑）

思いがけず、楽しいおうちご飯をごちそうになり心もお腹も大満足したメガネキョウダイ。
その帰り際、坊母さんにこっそり
「今度もあの美味しいペコリーノをお土産に持って来るのよ？もちろん今度はもっと大きなのね？」
と念を押されてしまったのでした。
もちろん、答えは、

チェルト！！コメノォ？！
（合点承知なのですよっ！）

イタリアでダイエットするっていうのは、焼き肉屋さんでジュージュー音を立てて焼けてくるお肉を眺めてるみたいに我慢するのが大変だな・・と思うばかりのメガネキョウダイなのでした。