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2006年06月07日

カステッロ ディ ブロォリオ

それは、サンタカテリーナの家にお引っ越ししてから二日目の夜の事。

連日の凍える寒さに
「あの、もし可能なら毛布をもう一枚貸して欲しいのですが・・・」
と、バスコじいさんに電話で頼んでみたメガネ(正しくは相棒だけれど)。
「寒いのか?」
と問われ
「はい、寒いんです」
と答えると
「そこに毛布の余分は置いてないのか?」
とまた問われ
「はい、無いんです」
と答えると
「わかった、出先から帰ったらすぐに持って行く」
と電話を切られたのでした。

で、ホントにすぐさま掛け布団を運んできてくれたバスコじいさん(やっぱり頼りになるのです)。
いつもの如く風のようにササッと消えるかと思いきや、
「君たちの仕事にワシはとても興味があるんだけど、どんな仕事をしているのか見せてもらえるかな?」
と予想外のお願いをモジモジとされたのでありました。
もちろん「いいですよ?」と、このHPや相棒の描いている水彩画を披露したところ・・・。
「素晴しいよ!すごいじゃないか!」
と、大変お気に召して下さったらしいバスコじいさん。
「もし君たちに興味があるなら、シエナの近くにあるカステッロ(お城)を見に連れて行ってあげるよ。」
とキラキラした目で言い出したのでした。
あまりに突然の申し出に「ええっ!??」と思ったものの、「もちろん君たちが行きたいのならだけどね」と言いつつ「このカステッロは素晴しいんだよ?」とか「写真に撮ったら絵になるよ?」なんて何度も何度も熱くお誘いくださるので(笑)、
「それでは、よろしくお願いします。」
と答たメガネキョウダイなのでした。
・・だって、ホントにどうしても連れて行きたそうだったんだもん。

そして昨日、アパルタメントの内線電話で「明日9時にね」と告げられた我々。
朝の9時に合わせ、大慌てで準備を整えたのでありました。
しかも、何故か今朝に限って他のラガッツィ達も朝8時頃から起き出してきたものだから、2つしかないドッチャ(シャワー)はもう大混雑。
「もう!いつもは寝てるくせに!遅れちゃうよ!」なんて焦りつつ9時少し過ぎに1階まで駆け下りた我々なのでした(もちろん、9時ジャストにせっかちなバスコじいさんから「用意はできてる?」の催促電話も頂いちゃいました)。

大急ぎで1階の呼び鈴を押したメガネ。
ブーッガチャン!と開いたドアの向こうにはニコニコ顔のバスコじいさん。
「おはようございます!」
と挨拶すると、
「用意は良いかい?じゃあ、車に」
との指示。さすがせっかちさん。
挨拶もそこそこに、アパルタメント前に停めてあるフィアット・パンダの前へ急ぐメガネ。
ドアのガチャンと閉まる音に振り向くと、バスコじいさんの家からヒョッコリ現れたのは、あれ?貴方は確か用務員のお兄さん?・・なのでした。
そしてメガネの前を通り越し、そのままフィアット・パンダに乗り込む彼。
事の成り行きが飲み込めず呆然と立ち尽くす我々に、早く乗って乗って!のジェスチャーです。
「え?あれ?バスコじいさんは???」
と思いつつも、一応車に乗り込んだメガネ。
バタン!とドアを閉めたとたんに、すぐさま車は発進です。
アレレ?動き出しちゃいましたよ??
そうして「?」だらけのメガネと相棒を乗せた白いフィアットパンダは、用務員さんの運転でずんずんシエナの街を進んで行くのでありました。
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しばらく車が走ったところで、
「あの、今日はバスコじいさんは一緒じゃないんですか?」
と怖ず怖ずきいてみたメガネ。
すると、
「ああ、来ないよ彼は」
とアッサリ。
ああ、やっぱりと顔を見合わせる我々。
「あの、私たちてっきりバスコじいさんが運転するものと思っていたのですが・・」
と重ねて尋ねると、
「ああ!うんそうだね、でも今日は僕が一緒に行くから!」
とのお答えなのです。
ああ、そうなのですか。そうなのですね。
バスコじいさんはいかにも自分が連れて行くからっ!みたいな言い方をしてましたけど、自分は行かないのですね?と、ようやく理解することができたメガネキョウダイなのでした。
だって、バスコじいさんが「連れて行ってあげる」って言ってたんですよ?

てことで、今日はバスコじいさんではなく、用務員さんと一緒にカステッロまで出掛けていたメガネなのです。
ふうっ、前置きが長かったな。
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しばらく走って、町外れに出ると、
ガサガサとおもむろに地図を開き始めたお兄さん。
どうしたのかな、と思っていると
「君たち、このお城には行った事無いんでしょ?」
と彼。
「はい、無いんです」
と答えると、
「実は僕もなんだよね。ふふふ。」
だそうで・・・
って!えええっ!!
バスコじいさん、行った事も無い人を運転手として無理矢理行かせていたのですかっ!?(笑)

とにもかくにも、正しい道すらわからない3人で、お城を目指してレッツゴー!なのでありました。


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チェントロから少し出れば、トスカーナの素敵な景色が広がり始めます。
やっぱりシエナって良いところだなあ・・。

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目指すカステッロは、ワインで有名ないわゆる「キャンティ(Chianti)」と言われる地域の中程にあるらしく、周りはどこもぶどう畑で一杯なのでした。
ちなみに、手前でぶれているのが全部ブドウの木です。ふふふ。

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途中、迷っておばさんに道を聞いたりして、
おばさんは「あっちよ!」とジェスチャーを交えて説明してくれました。
イタリア人、道の説明に関してはとっても親切なのですね。

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また、キャンティの景色を楽しみつつ走り抜けます。
この辺りは景色を見ているだけでもワクワクしてしまいますね。
フィアットパンダとは思えない猛スピードで走り抜けるんだもの、写真が全部ブレちゃった。

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Sienaからだいたい50分程かけて、ようやく
「Castello di Brolio(カステッロ ディ ブロォリオ)」へと続く並木道に入ったのでした。
バスコじいさん、30分ぐらいって言ってたけど、もっと遠かったですよ?もう!

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駐車場に車を停めると、あとは歩いてお城まで。
高い丘の上にあるお城までは結構距離も高低差もあるのでした。ふうふう。

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途中、こんな立て看板が・・。
ちっちゃく「狩り禁止」って・・・。
こんなに小さく表示してても、あんまし意味が無いと思うのですけどもね?ふふふ。

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さてさて、木々の間からお城が見え隠れしてきましたよ?

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ふうっ!
ようやく城門に到着です。
あれれ?でもガッチリと鉄格子が閉まってませんか?
「もしかして今日はお休み??」
と二人で話していると、お兄さん、
「閉まってるよ!」
と言いつつ戻って来ちゃいました。そしてそのまま・・

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「鐘を鳴らせって書いてあるんだけど、どこかな・・」
とキョロキョロ。
メガネも加わって呼び鈴を探す三人。
と、
「あった!これだ!」
とお兄さんが引っ張ったのは、ヒモ?ヒモですか?

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はい、あのヒモにはこのような本物の鐘がくっついてて、これがガランゴロン鳴るのです、
これが、呼び鈴。
さすが、城!

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門扉には「呼び鈴を鳴らしてから、だいたい10分から15分ぐらいで扉が開きます」
とイタリアらしい文句が明記してありましたので、そんなにかかるなら、とぶらぶら散歩していたお兄さん。
しかし門はほんの2分程でバチャッン!!ギーッ!!と大きな音を立てて開き始めたではありませんか!?
みるみる間に電動の門は全開になり・・
「門開いたよ!お兄さんお兄さん!!門開いたよ!」
と焦って彼を呼んでいるメガネを横目に
今度はギギギギギーッとすぐさま閉まり始めるではありませんか!?
開くのも早すぎるけど、閉まるの早すぎるよ!
あわてて相棒が
「閉めないで!待って待って!」
と門にかじりついたところ、閉まった門が再びギー!!と開いて、とりあえずメガネ達は中に。
お兄さんもダッシュでギリギリセーフ!

ホッと一息ついて振り返ると、お城の小さな窓にホラー映画のような人の顔が・・・。
鐘の音を聞いて、そこから覗いて自動ドアの開閉をしているのですね。
門番の人!見えているのなら、閉めないで下さい!お願いですから。
だいたい2分で開くなら、10〜15分って書かないで下さい!お願いですから。

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こちらがお城です。
ここにて拝観料金5ユーロを支払いました(お兄さんが)。
車で連れて来てもらって、料金まで支払ってもらうなんて、大変申し訳ないメガネなのでした。

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そして、お城の内側に入って行く彼。
もちろん、我々も彼の後にセッセカついて行ったのでした。

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お城の真ん中には小さなキエーザ(教会)?が。
近くに行って説明書きを読んでみると、
「Cappella di San Jacopo(サン ジャコポ 礼拝堂)」でした。

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小さいですが,とても素敵な礼拝堂なのでした。

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礼拝堂の中心に開けてある覗き窓。
バラのデザインがすごく素敵だなと思ったメガネ。
丁度真下がお墓となっているようでした。
多分、こちらのお城の持ち主の方が代々眠っていらっしゃるのだと思います。

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お城の中にはそこかしこに獅子の像が。
こちらではライオンが権力の印だったのだとか、
堅牢な城を象徴するかのように、雄々しいライオン像がそこかしこにありました。

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お城の内側から見るとこんな感じ。
まさに中世の世界です。
今にも遥か昔の時代の騎士が現れそうですよね?

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あまりに、完璧なお城だったので(規模は比較的小さいのですが、「お城ってこんな感じだろうな」と映画や物語等で想像していたものそのものだったのです)、ついつい、ここに囚われのお姫様が居たりして・・・
とか空想世界に入りそうになってしまうメガネなのでした。

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窓を守る格子も、ちゃんとデザインされているのです。
庭側は全ての窓がこんな感じになってました。

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広い森を抜け、お城の裏側に出ると・・・。
まさしく豪奢な建物が。
表は堅牢さを誇る石そのものの色でしたが、こちらは富を象徴した素敵な建物になってました。
半分が男の顔、半分が女の顔というイメージでしょうか?
表と裏でこんなに違うなんて!と驚いてしまいます。
ここにお城の主達が住んでいたのでしょうね・・。

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城壁から下を眺めると、こんな庭が!!
素敵!


そして、眺めは絶品なのでした。
お城の3分の2部分は、こんな絶景に囲まれています。
つまり、丘の上の斜面、絶壁の上のような場所にこのお城があるという事ですね。
今では周りはほぼ全てキャンティ。ぶどう畑の海なのです。
(クリックすると大きい画像が見られますよ?)

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お城のこちら側は、まさにおとぎ話の中そのもの。
今にも、妖精やお姫様が駆け出してきそうなのです。
メガネのイメージの中では何故かお姫様はジュリェット・・(笑)。

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さて、ぐるりと城壁の上を歩いて表まで回ると、
これ、前面の城壁側にあったのですが、何だと思います??
日本のお城でも見かけるものなのですが

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こうして覗くと下がよく見えるのです。
昔はこうして下を監視して攻めて来た敵に矢を放っていたのでしょうね?
なんだか、本当に想像が膨らむお城なのですここは。

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こちら、城門の門扉の丁度真上部分なのですが、右奥側に見えますか?
上から覗けるよう四角い穴があけられています。

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アーチの部分の下に顔を入れて・・・
これ上から覗いた画像なのですが、わかりますか?
ちょうど城門の真上の部分にスリットが入っているんです。
門までたどり着いた敵に対して、石や木を落としたり、何かしらの防御をするためのものなのでしょうね。

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これは反対側。
門の門扉から上を見上げた所。
ね?スリットが入っているのがわかりますか??
う〜〜ん、ロードオブザリングの世界ですね(笑)。

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ということで、物語気分を存分に味わったメガネ。
用務員のお兄さんに沢山お礼を言ってお別れしたのでした。
どうもありがとうございました。
朝の9時からお昼まで、約3時間の旅なのでした。
ああ、楽しかった・・・・


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コメント

完璧なお城ですね。僕もカメラ持って行ってみたいなあ。あの看板、狩りに注意じゃなくて狩り禁止ですよ〜。今日は食べ物でいじめられなくて良かった・・・。

青木さん、こんちには〜。
チェック早いですねえ?(笑)
昨日半分眠りながら書いていたので間違えちゃったみたいです。ふふふ。
というか読み返しの時点で気付いてたのですが、眠かったので「明日直そう」と思いそのまま忘れちゃってました〜(笑)。
これじゃあ、いけませんね?

こんなメガネですので、これからもたびたび間違えるかと思いますが、ご指導よろしくお願いします〜。

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