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2006年05月19日

ヴィテルボの谷は・・・ 2

トスカーナの丘陵地帯を2時間半程走り続けたミケーレ号。
なにやら景色も可愛らしいパステルカラーから、深い色味の男らしい荒削りな感じへと変わってました。友曰く「トスカーナに比べると、なんとなく洗練されていない風合い」のラッツィオ州に入ったようです。

まずは、眼下に湖が・・
「これがボルセーナ湖だよ」
と言われ、「思ってたより大きくて海みたいだな・・」と思ったメガネ。
ボルセーナ湖は、昔火山が噴火した時に出来たのだそう。
真ん中あたりにちっこい島があって、そこにちっこい街が形成されているらしいのです。
時間があれば是非行ってみたかったけど、今回は通過するだけで我慢。

またしばらく走ると今度は上り坂が続きます。
ここが「Montefiascone」と呼ばれている山なのだそう。
日本でも有名な「Est Est Est」というワインの名産地なのです。
ちなみに、モンテ・フィアスコーネの「フィアスコーネ」とは、「ワインを入れるでっかいビン(『fiasco』とは、胴に麦わらなどが巻いてある首の細長いワインを入れるビンで、それに『one』がつくことで、そのでっかいの)」という意味なのだそう。
美味しいワインが沢山取れる山という意味で、そう呼ばれているのだそうですよ?

そんなワイン山を越えてしばらく走ると、古めかしい建物達が見えてきました。
「ここが、ヴィテルボのチェントロストーリコだよ?」
とミケーレさん。
いよいよ、ヴィテルボに到着のようです。
さっと通り抜けただけなので、よくわからなかったけれど、シエナよりかはあっさりした街並かな?と思ったメガネ。
ここで停車するのかと思いきや、ミケーレ号は停まる事無くどんどん進みます。


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で、結局停まったのがここ。
濃いネズミ色のような暗い色合いの石(ペペリーノ)で創られたヴィテルボのチェントロに続く門の前なのです。

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実はミケーレ号には、作品を運ぶためのこんな付属品もくっついてたのです。

それにしても暑い!
車の照り返しでもわかるように、この日はとんでもなくいいお天気なのでした。
シエナでは凍えていたのに、この日差しはなんなんでしょ?
あんまりまぶしいので額に手をかざしてミケーレさんを見ていると、何やらお店の中に。
そして手で「こっちに来い!」ってしてるのかしら?呼ばれてるのかな?

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ここは、ミケーレさんのいとこのルカさんのお店。
もともと写真屋さんだったらしいのですが、今はデジタルにも手を出し、今度はメガネ販売も始めたらしいルカさん。かなりやり手な商売人らしいのです。

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ルカさんもミケーレ一族です。
よく話すし、人のお話は聞いてないみたい。
とにかく居る間中お話(というか激論?)してました。

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そして友が要らないと言っているのに、次々にメガネを勧めるルカさん。友もほとほと困り顔なのです(笑)。
さすが、やり手。狙った獲物は逃しません。

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それじゃあ、お昼でも、ということで
バール兼学食形式の食堂にて簡単なお食事をとることに。

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こちら、スタジョナートのフォルマッジョとサラダ。
スタジョナートと言いつつも、かなりフレスコでした(笑)。

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お味の方は・・・ん〜まあまあ?かな?(笑)
それでも、お野菜がたっぷり摂れたので満足なメガネキョウダイなのでした。

ここに居る間中、ルカさんとミケーレさんは激しい口論。
お昼なのに、朝まで生テレビなみに白熱してました。
まあ、内容はミケーレさんが「大嫌い」と豪語するベルルスコーニさんの事らしかったのですが、そんな事には興味の無いメガネ達はミケーレさんそっちのけで食べ物のお話を楽しみました。
そんな、ルカさん達との長〜いお昼を終えると、
車は一路ミケーレさんの故郷、バルバラーノ・ロマーノへ。
正直な所、ちょっと近代的で、そして街の色合いが灰色チックなViterboにはあまり魅力を感じられなかったメガネ。
バルバラーノがどんな場所なのかドキドキです。
ほんの数分進んだだけで、車窓の景色は一気にまた森の中へ。
そのまま20分程車を飛ばすと、そこがミケーレさんのお家なのでした。

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左側、3階部分がそうです。
もともと公団住宅だそうで、ミケーレさんのおばあちゃんが住んでいたのだそうです。
今は、たまにミケーレさんが仕事で訪れる程度、という事。
友にさんざん「全然住んでないからね、すごく汚くてビックリするよ!」なんて脅されていたのですが・・・・。

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お部屋に入ると・・・。
シャンデリアがある〜。
壁紙もイタリアっぽくて落ち着いた雰囲気ですよね?
「全然大丈夫じゃない!もう!」と相棒(笑)。

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台所も可愛らしい感じなのです。
電灯がなんとなく気に入ったメガネ。

とりあえず、荷物を置いてチョビット一服したら、即出発!
「それじゃあ、バルバラーノの渓谷散歩に行こうっ!」
と大ハリキリのミケーレさん。

バルバラーノのチェントロストーリコ(旧市街)は、切り立った2つの渓谷に挟まれた、中州部分、ちょうど船の舳先のような感じの場所にあるのだそう。
高い高い崖の上ギリギリにくっつくようにしてお家が建っているのです。
高所恐怖症の人には絶対に住めないお家ばかりですね?ふふふ。
その渓谷の谷底部分を歩く遊歩道があるそうで、
「その景色と来たら素晴しいんだ!」
と目をキラキラさせるミケーレさん。
誘われるがまま、早速そこを訪れる事にしたメガネキョウダイなのでした。
さあ、どんなスペッターコロが待っているのでしょう!??
ふふふふふふっ。

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おっ、なかなかに整備されてて良いじゃないですか?
故郷の風景にウットリとした顔をしつつ、谷へ降りる道をずんずん進むミケーレさん。

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さすがお里だけあって、お知り合いも多いよう。
一度話したらみんな友達のミケーレさんだけに、色んな人に声をかけられるんですよね。
そんな中でも恰幅の良い豪快そうなおじさまに、
「友達を一杯連れて、どこに行くんだい?」
と聞かれたミケーレさん。
「これから谷に行くんだ!」
と張り切って答えると、
「ええっ!今から行くのかい?ちょっと遅すぎるよっ!」
とのお答え。
途中、谷から登って来た観光客らしき人にも「ちょっと遅いねえ」と言われるミケーレさん。
我々が谷に降りた時刻は、夕方5時30分頃。
ん〜まだまだ明るいですけども、確かに遅いと言えば遅いのです。うん。
まあでも、ミケーレさんはそんな言葉を気にも留めずに行く気満々だから、行っときますか?と進む事に。

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こちら、ミケーレさんが大好きなエトルースキが掘ったらしい穴です。
日本で言うところの竪穴式住居みたいな感じですか?
エトルースキはこの穴で家畜を飼っていたそうです。だから中に水飲み場とかもあるんですね。
ミケーレさん的には、これはかなりな自慢らしいです(笑)。

「チィ〜ビィ!(裏声で)」をお供に谷に突き進むミケーレさん。
初めはこんな遊歩道だったのですが・・・

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な、なんか徐々にうっそうとして来てません?
ていうか、草がはびこって来てません?えっ?あれ??
え??これ、み、道なの???

ミケーレさんの
「こっち!こっち!こっちだよ!」
という声に導かれるまま歩き続けるメガネキョウダイご一行。
森の奥深く、迷う事無く突き進むミケーレさん。
なんだか次第に道無き道な様相に・・・
これには、さすがに友も不安になったよう。
「本当にこれでいいの?ここであってるの?ホントなのね!!?」
としつこく確かめると、
「本当だよ!僕はここで働いた事もあるんだから、信じてよ!」
とミケーレさん。
「ミケーレさんの「信じて」って、どこまで信じていいのかがかなりな謎だよね」
と思うメガネ。

それでも、獣道を突き進むミケーレさん。
「あれ!あれ!上を見て」
の声に、ふと上を見上げると・・
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遥か高い、崖の上にお家が並んでる!
これがバルバラーノ・ロマーノのチェントロストーリコなのです。
あの崖の上に人が住んでいるのですね。
「あの真ん中の崩れている建物は、ミケーレさんのお友達のお家で、ある嵐の日に突然崩れたんだって」
との事。
・・・それってかなり怖いんですけど・・・。
崖ギリギリに住むのには、ちょっとした勇気も必要なようです。

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進めば進む程、ますますうっそうとしてくる木々。
途中、こんな場所も。
増水したために流れ着いた流木が山となってました。
この渓谷の川は溢れやすいのですね。
道無き道には真新しい崖崩れ地帯もチラホラ。
「今崩れてこなければ良いのだけれど・・」
の友の一言に、冷や汗がタラリのメガネです。

「見て見て!これ、これはむかしのセメントなんだよ?」
とおもむろに砂を掴むミケーレさん。
「これは、pozzolanaって言うんだ」
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この粘土質な地質部分に水を混ぜ、練って石と石を繋ぐセメントとしてむかしの建築物に使ったのだそう。さすが、石博士。なんか地質学講座みたいになって来たな・・・。
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そんなこんなで、歩く,歩く。
とにかく歩く、ミケーレ一行。


ふうふうふう・・。
ふうふうふう・・。
もう1時間はこの森の中を歩いている気がする・・・気のせい?気のせいなのですか??
しかも、徐々に草がはびこって、かきわけかきわけ進んでる気がするんですが・・・。
ただでさえも疲れていたメガネ、ひんやりとした空気の中での先の見えないミステリーツアーに息もあがってしまいます。

しかも、
「ここここ、見て見て、イノシシの足跡だよ?」
と友。
「ええっ!」
と下を見ると、確かに何か巨大な獣の足跡が・・・。

・・・イノシシ、出るんですね?

「でも大丈夫、イノシシが出たら木に登れば良いから」
と友。
「ええっ!!」
・・そんなとっさに登れるのでしょうか?木に?
「大丈夫だよ〜、角に刺されなければ、ぶつかるだけだもん」
と友。
「ええっ!」
って、人間ぐらいの重さのイノシシですよ?ぶつかったら、ただじゃあ済まないと思うんですけども・・。

その後、「ガサッ!」と遠い草むらで音がするたび「来たかっ!??」と身構えてしまうメガネなのでした。


そんなメガネにイノシシにぶつかられるのぐらいなんて事無い、更なる恐怖が・・・。

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なにげな〜く、草をかき分け歩いていた時のこと。

「ここってさあ、zeccaが出そうだよねえ?なんかダニがうようよしてそう・・・」

と友がポツリ。
「な、なんですって!!」
後ろ頭をハンマーでドカーンと殴られたような衝撃がメガネを襲ったのは書くまでもありません。
そうだよ!そうだよ!そうだよっ!!!まえはピクニック程度のほんの少しの草木でダニに食らいつかれたメガネ。
こ、こんな腰ぐらいまである草をかき分けて前に進んでたら・・・・
あそことか、こことか、あっちとか、そこいらじゅうにうようよ居るダニが(その時はそう感じたのです)、メガネのへそに向かって大行進ですかっ!?
「い!いや〜〜〜〜〜!!!!!!!」

ひとりパニック状態に陥り、かなり挙動不審になるメガネ。
そんなメガネを気にも留めず、ミケーレ探検隊はずんどこ進むよ何処までも。
川に遮られた道も、滑って水に足を突っ込みながらも進まされ、
「あと30分で素敵な場所に着くから!!」
とのミケーレさんのぶら下げるニンジンに、しっぽをふりふり着いて行く友と相棒。
「もう今すぐに!この瞬間にでも引き返したい!」と心の中で叫ぶメガネ。
それでも進む、探検隊。

その後も,思い出したように
「ここはダニが出そうだよねっ?」
「ダニ、居ないと良いよね?」
「ミケーレさんはダニは居ないって言うんだけど、根拠無いよね?」
なんて、なにげなく発せられる友の言葉に、意味も無く上着をパンパン払いつつ、ダニを振り切るがごとく足早に急ぐメガネ。
何処に潜んでいるかもわからないダニに真剣に恐怖しつつ、目で確認しようと必死で周りの草木に鋭い眼光を走らせるのでした。・・・見える訳無いのに。

「もうとにかく、なんでもいいから終点まで行ってこの山歩きを終わらせて!!」

と心の中で絶叫しつつ、
「ダニに食らいつかれませんように、ダニに食らいつかれませんように」
と一歩進むごとに、小さく祈りつづけたメガネ。

そんなメガネを知ってか知らずか、
「ほらほら!ここだよ!着いたよ!着いた!!」
と嫌味な程に楽しそうなミケーレさんの声が。

「なにに着いたのよ!」
と、ノロリと顔を上げると・・・。
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「見て見て!素敵だよ!素敵だよ!ねっ?ねっ?凄いよねえ?」

・・・・・・・・・・・・・・・。
・・・うん、確かにね、素敵だと思う。
ほんと、「ダニの恐怖」が無かったらね、とってもとっても素敵だよね。うん。
でも滝?だよね?
ただの滝??
この滝を見るために、メガネはダニの恐怖に1時間も打ち震えつつ歩き続けたのですかっ!ミケーレさんっ!(笑)

「まだ、スペッターコロ(スペクタクルのこと)が残ってるよ!」
「こっちこっち」
うきうきしっぱなしのミケーレさんに連れられるがまま、やっぱり進む一行。
もうスペッターコロはいいよ。
もうねメガネはダニのスペッターコロで精一杯なんですってば!ミケーレさん!

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って!何これ!
ど、洞窟!!
しかも上に草生えてる!
もしダニが頭の上に落ちて来たらどうするのっ!!

それでも進まねばこの恐怖のハイキングは終わらないのです。
OH!!DIO!DIO!!

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しかも、細いし!
ちょっとでも手を広げたら当たってしまうこの狭さ。
これじゃあ、ダニが飛んで来てもよけられない!

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洞窟部分は今にも上からガラガラ崩れてきそうで、恐ろしい事この上ないのです。
ダニ、落ちてこないよね?
ダニ、くっつかないよねえ?
しかも、こんな所でダニと一緒に死にたくないっ!!

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ようやく洞窟を抜けると、足下に広がる池。
足場が妙に少ないんですけど、
何か今にもここから崩れ落ちそうなんですけどっ!
チィ〜ビィ!もなんだか怖そうだよ。
(画像ではよくわからないと思いますが、池までの距離は5メートル以上あったのですよ)

ただただ、喜色満面ニコニコ笑顔のミケーレさん。
もう楽しくって嬉しくって仕方が無い!というご様子で
「凄いでしょ!素敵でしょ!!」
を連発するんですもの・・・
メガネの怒りバロメーターも内心うなぎ上りなのです。
ごめんなさい!その素敵な笑顔が、今はこの場でハリ倒したくなるぐらい憎いのですってミケーレさん。
ほんとに、心より申し訳ないのだけれども。
そうして、ウットリ夢見心地のミケーレさんと共に池を堪能する事、しばし。

「ふうっ。・・それじゃあ、素敵な滝と池も見られたし、そろそろ帰ろうか?」
と、例の洞窟に引き返し始めたミケーレさん。
ようやく満足してくれたのですね!
やっと!やっと帰れるのですねっ!
と喜びの渦に包まれるメガネ。
それはまるで、ザーザー降りの悪天候から一気に快晴になったみたいな気分なのでした(笑)。

その高揚感は何故か森に居る間中続き、帰る道すがら
「ねえ、メガネ、大丈夫?なんか変にテンション高くなってない?」
と友に心配されてしまう程なのでした。
そうして、妙な汗を大量にかきつつ、妙な喜びに浸り続けたメガネ。
今思うと、ダニ恐怖による極限状態のあまり、フルマラソンを終えたランナーのごとく脳内麻薬が大量に分泌されていたのでしょう。多分、きっと。ふふふ。

そんなこんなで、2時間弱の(体感時間は5時間程だったけれど)恐怖谷底探検ダニツアーは無事終了したのでした。めでたしめでたし。
そうそう、
森を抜けた直後、狂ったようにジーンズや上着をバッサバッサとメガネが払いまくったのは書くまでもありません。

なんだかこのままだと、友に怒られてしまうような気がするメガネ。
いや、もちろん、谷の遊歩道は素敵でした!!
景色も素晴しかったですよ?・・多分。
バルバラーノ・ロマーノにある渓谷は、ダニの恐怖に打ち勝つ自信のある方にはとってもおすすめの散歩道。
草のはびこり方からして、秋から冬にかけての散策をお勧めいたします(その頃ならダニも居ないだろうし)。
勇気のある方は是非、チャレンジしてみて下さいね?

いや、ほんとに素敵なとこでしたよ?ほんとに。

てことで、見るの続きに続きます。はい
3の「猫の居る街」へ・・

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コメント

It sounds fantastic. The question is - this post is absolutely new and original, isnt it? It seems to me I've saw it somewhere before.

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