メガネ死にかける!???
とりあえず、暑気あたりでフラフラになりつつアパルタメントにたどり着いたメガネ。
待っていた相棒の「頑張れご飯」をムシャムシャ食べる事に。
でもなんだか食欲が湧きません。これはちょっと困った事になりそう。
なんて暑いの!!イタリアよ!!
さっぱりサラダを食べて小休止。
ふう。
でも急いで出掛けないと、次はまたすぐにコントラーダによる馬と騎手の抽選会があるのです。
1時からだから急がなくちゃ!
自分のコントラーダに速い馬と上手い騎手が当たる事をひたすら願うセネーゼなのです。
カンポ広場までの道すがら、オーカ(ガチョウ)チームの面々が話に華を咲かせてました。
丁度メガネが通る道にオーカの集うバールがあるみたい。
このオーカのポシェットが可愛らしいのです。
それぞれのコントラーダごとにTシャツや帽子、アクセサリーなんかを作ってるみたい。
まるで気分は学校の体育祭のような感じですよね?
そうしてカンポ広場にたどり着けば、人・人・人、人の海とギラギラと照りつける太陽です。
既に午前中にフラフラになっていたのに、これはホントまずいかもと思ったメガネ。
普通の人でもグラリと来そうな日差し・・・。
体の弱っちいメガネには、今年のパリオはかなり厳しいものになりそう・・。
全部レポートできなかったらごめんなさい!!
そんな中、沢山のセネーゼ達が集まって来てました。
いよいよ抽選会です。
今朝見た馬の中から選ばれた10頭と、騎手10人がこのくじでそれぞれのコントラーダに割り当てられます。
公正を期すために全部が抽選なのです。
全ては神頼み。
どの馬と騎手が当たるかで1年の幸せが決まるのですから。
固唾をのんで見守るコントラーダの面々。
それまでざわついていた広場も水を打ったような静けさなのです。
ドキドキ。
抽選で当たったコントラーダがこのプレートに張り出されます。
実はここにコントラーダが張り出された場面をメガネは撮る事が出来ませんでした。
あまりの暑さに気分が悪くなり、撮影を諦めて帰る事にしたからです。
「やぱい!もうこれは倒れる」と真剣に感じたメガネ、大事になる前に退散と相成ったのでした。
だって、この人手なのですよ?
しかもイタリアの強烈な日差し。
6年前では考えられない暑さなのです。実際倒れている人も何人が居ましたから半端じゃないのです。
それに6年前のパリオって抽選会にこんなに人来てなかったと思うんですけど・・。
試走に来てた人の数も倍ぐらいになってませんか???
それでも1時間も粘ったメガネ。
よく頑張ったなあ・・・と自分をなぐさめつつ帰ろうとしたところ、
「パーパパパパッ!パーパッパパッ!パーパーパパパパパ!パーパーパパッ!!」
というシエナ定番のラッパが吹き鳴らされたのでした。
これは、まごう事無き開始の合図。
「ええ!帰ろうと思ったのに始まったの??」
と、慌てて横道のトンネルに引き返したメガネなのでした。
本当に卒倒寸前だったのですけども・・・・やっぱりこれは頑張らないと・・・。
まず始めに抽選で発表されたのが、モントーネ。
メガネのコントラーダなのでした。
でもね、発表された瞬間、本来なら「うおおおおおおおおっ!!!」という歓声と続けざまに歌になるのですが
今回は何故か
「シーン・・・・・・」
その後30秒ぐらいしてから、ようやくシエナのコントラーダテーマソングを大音量で歌い出した人々なのでした。
どうも弱い馬か騎手に当たったからしくて、言葉も無く呆然としていたらしいのですよ?(笑)
選ばれた馬は馬主さんに連れられて颯爽と広場をあとにするのです。
そのあとに、こうしてコントラーダの男達が続きます。
かなりお酒も入っているようだし、コントラーダに賭ける思いが強すぎて、相当怖い雰囲気を醸し出してます。
いわゆるナチュラルハイな状態。ある意味来合い入り過ぎ?という風情。
殴り合いとかも平気で起こってしまう一触即発の状況なのです。
コントラーダのテーマソングも歌うというよりかは怒鳴る!という感じ。
その分迫力もあってメガネは大好きなのですけども。
そんな気合い入り過ぎの危ないおじさま達のうしろには女の人や子供達が続きます。
馬を受け取り、自分たちのコントラーダの教会(シエナのコントラーダの教会には必ず厩があるのです)に到着するまで大声でコントラーダの歌を歌い続けるのです。
ちなみに曲は17のコントラーダ全て同じ。歌詞だけが違うのです。
だからメガネ達にはみんな同じに聞こえてしまうのでした(笑)。
よ〜〜く耳を澄ましていると「モントーネ!」とか「オ〜〜カ!」とか聞こえて来るのですけどね。
ほらほら、怖いでしょう??
目なんて血走ってますもん。
オーカのコントラーダも馬を連れて行進です。
さすがに限界に来たメガネ、残りのコントラーダの撮影は諦めオーカの集団に続いて帰る事に。
人々の怒声に馬が興奮状態。
それでも拳を突き上げて馬を前に出そうと人々がずんずん進むのでした。
馬が前向いて進んでないんですけど・・・。
全然前に進もうとしない馬を、人の迫力だけで強引に進ませます。
ちょっと危ない状況なのです。
そうして、馬の後に続く人に交じってフラフラ歩き始めたメガネ。
カンポ広場を抜けて、細い通りに入り50メートル程歩いたところでそれは起こったのです。
カンポからの道は幅がそんなに無く、人々でギッチリ。
新宿駅のラッシュ時の改札を抜ける時のよう。とにかく人に流されて行くしか無いのです。
メガネも人に習って牛歩でノロノロ歩いていると・・。
それまで朗々とコントラーダの歌を歌いつつ前に進んでいたオーカの人々。
その歌声が突然、
「キャー!!ワーッ!!!」
という叫び声に。
と思ったら、突如前方に進んでいたはずの人々が一気に後ろに引き返して来たのです。
一瞬、何が起こったのか解らなかったメガネ。
とんでもない勢いでドドドドドッとなだれ込んでくる人々にさすがに身の危険を感じ、とにかく押しつぶされないよう自分も慌てて逆走りです。
「カバッロ!!カバッロ!!カバッロ!!」
の人々の叫びに、どうやら馬が暴れ出したのだと理解したメガネ。
ひぇええっ、馬が逆走しているのもしかして?
馬に蹴られたらたまりません!!
雪崩のように逆流してくる人々に飲み込まれないよう必死に駆け出したのでした。
いやもう、ホントに死ぬかと思った。
テレビでよく見る将棋倒しの映像が一瞬頭をよぎりましたねえ。
後ろからドカドカ押され、カメラもあちこちにぶつかるのも構っていられません。
でも人波で思うように前にも進めず。これは本当にまずい!と思った刹那、
前の人がなりふり構わず通り沿いのお店のドアをぶち明け(ええもう蹴破るに近い状況でバーンン!!と勢いよく開け放ったのです)、店内に。
メガネも圧力によろめきながら目の前に開かれた場所に駆け込んだ(というか押し出された)のでありました。
一度に10人程の人間が逃げ込んだのは、カンポの前にあるコスメのお店。
「ケスチェッソ!!」
と驚き叫ぶ店主らしきおばさま。
そりゃ驚きますよねえ・・・。
駆け込んだ人々も今ひとつ何が起こっているのか分からない様子。もちろんメガネだってわかりません。
とにかくパニック状態の皆に。
「一体何があったの!!」
とドアを押さえて怒りの声を隠せない店主さんなのでした。
一緒に押し出された観光客らしき女性は手をブルブル震わせて目をまんまるにしてました。
メガネも卒倒寸前だったのにさらにパニックが襲って気持ち悪いやら、目が回るやらでもう大変でした。
なんだかんだでその店に5分程避難した後カンポ広場に引き返したメガネなのでありました。
いや〜っ、死ぬかと思った真剣に。
引き返したカンポ広場は今の騒ぎなんてどこ吹く風ですよ。
通りに戻ると、なにやら泣き叫ぶオーカのラガッツェ達。
どうも今の騒ぎで誰かがけがをしたか、馬がけがをしたかのご様子。
それこそ世界の終わりのような顔で涙を流す女の子達。
馬はまだ後方にいるらしく赤ちゃんを避難させるのに必死のお母さん達。
「カバッロ!カバッロ!」
とまたしても声が聞こえ、
「多分死んだんだわ!」
なんて声も聞こえて来たので、メガネも「ええええっ!」と驚いてしまいました。
馬が死んじゃったの?何で皆泣いているの???どうしたの??
とにかく大騒ぎなオーカチーム。
馬に付き添い歩くはずの彼まで、スタスタと先に避難させられている模様。
どうしちゃったの、本当に!??
この時点でメガネはすっかり
「馬が死んじゃったんだ・・」
と思い込んだ訳です。
だって、みんな泣いてるし、「もう終ったのよ!」なんて叫んでるんだもん。
呆然と馬の方を見続ける人々。
半分逃げられる体制なのが、パニックの大きさを物語ってます。
本当はもう少し留まって事の成り行きを見届けたかったメガネ。
でももう限界。
立っているのもやっとの状況になってきたので、必死にお家へと帰ったのでした。
相棒作、ジュースを利用したアルビコッカ(アンズ)のグラニータで一息ついたメガネ。
その後「馬が死んだんだよ!」
と相棒に向かって事の顛末を話し続けたのでした。
まあ、そして倒れたんですけどね。ふふふふ。
さてさて、馬は本当に死んだのか否か!!
続きは今度(多分)。