メガネキョウダイ、つぶやく

ええもう、心の中で絶叫しましたとも。
だって、メガネのおへそに、メガネのおへそに！
メガネのおへその穴に〜〜！！虫が！虫が！虫が〜〜〜！！！
そう、なんと！メガネのおへそに３〜５ミリぐらいの赤黒い甲虫ががっちりと食らいついていたのですよ！

もう、全身鳥肌ゾクゾクものなのです。
半分泣きそうになりながら、すぐさま相棒を呼んだのは書くまでもありません。

「ねえねえ！メガネのおへそに！メガネのおへその穴に！虫がいるんだけどっ！見て！ねえ、見て！」
「ええっ！」と慌てて飛んできた相棒も、覗き込んで仰天。
「これ、ほんとに虫だよ、虫！し、しかも引っ張っても取れない！！」
引っ張ろうが何しようが離れてくれない虫一匹に、二人しておろおろしまくりですよ。
だって、どう引っ張ってみても食らいついた虫は取れないのですから。
半狂乱になりながらネットであたりをつけて調べたところ、やっぱり！これだ！
そう、この虫の名は「マダニ」。
山などにハイキングに行った際にまれに寄生される事があるらしいアレなのですよ！ウギャ〜〜〜！！！！
メガネのへその穴にガッチリ食らいついて、どうしても離れてくれない彼。
君は、そんなにメガネを好きなのか！！
ただただ気持ち悪くて、本気で気分までウっ！と悪くなったメガネなのです。
だって、だって、お腹に虫が食らいついてるんですよ？ウギャ〜〜！！

結局、どうする事も出来ず、とにもかくにも頼れる友達に電話したメガネキョウダイ。
電話に出た友も、
「ええっ！む、虫！・・・うちの田舎でついたのかも・・・どうしよう・・」
とオロオロ。
改めてHPで色々調べたところ、なんかこのマダニに噛まれると病気になる事があるとかないとか・・。読めば読む程、絶叫したくなるような事柄がつらつらと書かれているではありませんか！OH!!DIO!DIO!!
しかも、自力で引っ張って無理矢理はずすと頭が残って炎症になったり、病気になる可能性が増えるとかなんとか・・・。と、取れなくて良かったっ！
彼に噛まれたら、皮膚科に行ってしかるべき医師にしかるべき器具を使って取ってもらい、ちゃんとした抗生物質をもらうように。なんて書いてあるではありませんか！
仮にシエナの病院に行ったとして、メガネキョウダイのおぼつかないイタリア語でこんな説明で来ません。
だいたい、「マダニに噛まれてる」なんて単語知りませんもん！マ〜ドンナ〜！！
仕方なく、友にお願いしてミケーレさんにもシエナに来て頂く事に。
うううううっ。つまらない事ばかりに、ご迷惑をおかけします。
でもね、でもね「マダニに食らいつかれる」なんて珍事、メガネも考えても見なかったんです。ほんとに。
だって、そうでしょ？野山を歩いて鹿やウサギに遭遇する事はあるかもしれないけれど、よもやダニに遭遇するなんて、誰も考えないですよね、ね？ほんとにまったく！

そんなわけで、とりあえず応急処置をして友を待つ事になったメガネなのでした。

え？応急処置はどんなかって？
ええ、友が街の医師に電話で問い合わせてくれたところ、
「マニキュアの除光液か、オリーブオイルでその虫を包み込み、窒息させて殺し、その後綿などで押さえておくように」
とのことでした。
除光液なんて持ってきてないメガネ、仕方なく「オリーブオイルでマダニを窒息！」作成に出たのでした。
メガネがお腹をペロリと出して寝そべると、相棒が台所から持ってきたオリーブオイルをメガネのおへその穴の中に、とろりと注ぎむのですね。
みごと、メガネのおへそはたっぷりとろーり、オリーブオイルで満たされました。

「ああ！おへそで良かったねえ？ちょうど穴になってるからオリーブオイルが溜まってるよ！」
と、大喜びの相棒。
いや、そこは喜ぶところなんですか？と心の奥でひっそりと突っ込むメガネ。
それでも、ホントにオリーブオイルが池のようにおへその穴に溜まってくれたおかげで、１０分程寝そべっていればダニ君を窒息に導けた模様なのです。良かった・・・。

そうしておそらくお亡くなりになったであろうダニ君をおへその穴からぶら下げつつ、ティッシュで即席の絆創膏をつくり、マスキングテープでバッテン印にとめたのでありました。
その様ときたら、自分でも思わず吹き出しちゃうブッフォ（滑稽）さですよ。
ダニに食いつかれて、お腹にバッテン印ですよ？いなかっぺ大将の実写版ですよ？もう！

そうして、お腹に即席のバッテン印を作ったメガネ、相棒としばらく笑いが止められなかったのでありました。

つづく。