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2006年04月28日

災難は空から降ってくるものなのだ!

昨日はあまりの精神的ダメージのため、最後の顛末を書かずに眠ってしまったメガネ。

ふふふふっ、そうですよね?気になりますよね?虫がっ!!
そう、メガネのおへその穴の中にがっちりと食らいついた彼。
もちろん、オリーブトローリ窒息大作戦にてご臨終された後も、がっちり食らいついているのには変わりなく、お腹に貼ったバッテン印のマスキングテープが彼の存在を燦然と示してくれてたのでございます。
嗚呼!いなかっぺ大将!

昨夜、ようやく住み慣れてきた我が家もめでたく追い出される事になり、
我が家の3人のラガッツィ達の激しい討論に巻き込まれつつも、なんとかミケーレ達との待ち合わせ場所にたどり着く事が出来たメガネ。
そんな頃にはもう、気持ちも体もかなりなグロッキー状態。
ヨロヨロと車に乗り込めば、ミケーレさんが
「大丈夫か?心配か?怖いのか?」
と親身に聞いてくれるのでした。実際、すんごく不安だったので、
「うん、すごく怖いの・・・」
と力なく答えるメガネ。
そんなメガネを
「大丈夫!大丈夫!心配要らないよ?」
と優しく励ましてくれるミケーレさん。
ああ、なんて優しいの・・・。
友は友で、
「病院でちゃんと説明できるかどうかわからないけれど、頑張るから!」
と定番の一冊700グラムもある和伊・伊和辞典、2冊合わせて1.4キロを携えてやってきてくれたのでした。
ああ、なんて頼もしいの・・。

こんな、マダニに食らいつかれたメガネなんかを本気で心配してくれるなんて!!

そんなこんなで、シエナのちょっと外れにある、シエナ病院まで一路かっ飛ばしたメガネご一行様。
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病院に着く頃には、あたりはすっかり暗く・・メガネの気分もどんより暗く・・。

「でもさ、初めてのイタリアでの病院行きが、『マダニに食らいつかれたから』だなんてどうなの?・・・情けなさ過ぎるよね、実際」
なんて、愚痴りが出てしまっても仕方が無いと思うのですよ、実際。

そんなメガネを苦笑いで励ましてくれる友。
めがねのこのつぶやきを聞いて、笑いを隠せない様子のミケーレさん。
それをジロリと睨む友曰く、
「こっちではね、ダニに噛まれる事って割とよくあるらしいの・・だからね、ミケーレはね半分面白がっちゃってるみたいなの、だから『笑い事じゃないよっ!』て怒ったんだけど、彼にしたら笑い事みたいなの・・・ごめんね」
ということらしい。
いや、日本でも充分「笑い事」だと思うから。
でもね、でもね、HPで調べたら、「死んじゃう事もある」だなんて書いてあったりするのですよ?
そりゃあ、見てる側としては笑えるかもしれないけれど、実際食らいつかれたメガネとしては全然笑えないのです。そうですよね、仮にお腹に異物が食らいついてて笑える人って居ないと思うんです。ね?そうでしょ?
そりゃあね、メガネがミケーレさんの側だったら、絶対に笑っちゃってるとは思うけどさっ。
メガネなんて、あまりの不安と混乱と混沌で唇の色まで無くなってしまったのだから、相当参ってたのは間違いないのです。

そうして、病院の救急窓口に入ったメガネ達。
自動ドアがガーっと開くと、中は意外にもヒト・ヒト・ヒトであふれてました。
ん〜、これは相当待つ事になるのかも・・。
そのまま、ミケーレさんの先導にくっついて受付窓口まで行進した一行。
受付窓口には、とっても痛そうに顔を歪めが人々が。
ある人は指に包帯ぐるぐる巻きだったり、ある人は肩を借りてヒョコタンヒョコタン歩いてたり、ある人は車いす、ある人はいかにも高熱がありそうな真っ赤なお顔・・・。

ここで、ここで言うんですか?「私、マダニにおへそを噛まれたんです」って?!!

OH!Dio!Dio!!
どう考えてもメガネが一番の軽症ではないですか!!マンマミーア!!
恥ずかしすぎて、穴があったら入りたい、まさにそんな気持ちになったメガネなのでした。
だって、マダニに食らいつかれたのって、病気の範疇なんですか?えっ?そうなんですか?シクシク・・。

そうは言っても、病院で取ってもらう以外に道は無いわけで。
ええ言いましたよ、正しくはミケーレさんがキッパリハッキリと、受付のメガネをかけた固そうな雰囲気のおばさんの前に私を引っ張って行って、指で示しながら、
「この日本の女の子がね、お腹を『マダニ』に食らいつかれたんだ!そう、マダニに!」
なんて、でっかい声で言い切ってくれたのでした。
メガネはもう恥ずかしいやらなんやらで小さく小さくなってました。
すると、苦々しい顔をしたおばさんは一つ頷き、
「どこを?」
と、さらに聞いてきたのです。と、ミケーレさんは自分のお腹を指差しつつ、
「ここ!ここ!ここだよ、このおへそのところ!」
と説明してくださいました。ええもう、キッパリと。
おばさんは、苦々しく頷くと、パスポートや住んでいる場所などを確認。
こんな場合、ちゃんとクエストゥーラに登録していないととんでもない事になるらしいのだけれど、メガネのstronzo!!な大家さんはそこのところはきちんとやっててくれたみたいで難なくクリア。ホッ。
みなさんも、旅先ではなにがおこるかわかりませんからね(ええもう、ダニに食らいつかれるなんて考えた事も無かったし)、備えあれば憂い無し、しっかり登録だけはしておいてくださいね?

さて、苦々しい受付が終わると、どう考えてもメガネよりも重病の人たちに囲まれつつ、待つ事に。
ミケーレさんは知り合いがいたらしく話し込んでるご様子。
なにげなく聞いていると、ミケーレさん楽しげに、
「いや、僕の友達の日本人なんだけどね、お腹を『マダニ』に食いつかれちゃって・・・」
なんてこれまたでっかい声で説明してるんですもの。
ギャ〜〜〜〜!!!!ですよ、メガネはもう、その場で穴を掘って埋まってしまいたかったです。トホホホホ。

そんな恥ずかしい状況の中、待つ事数分。
「すんごく待つ事になるかもね、ごめんね?」
と謝るメガネに、友は、
「でもね、こちらのシステムだと、沢山待ってるからって待つとは限らないんだって、病気の種類によって早く呼ばれる事もあるらしいから、ここに居る人がどんな病気かによって変わるんだって・・・」
との事。それを聞いた側から
「メガネさん!メガネさん!」
とのアナウンスが。は、早い!!というか、一番早くない??
さすがに、マダニの専門家は暇だったらしい。ええ、そうでしょうとも。うんうん。

呼び出しに従い、待合室の自動ドアを抜ける一行。
そのまま処置質に移動しようとすると、例の苦々しいおばさんが
「あっちから、彼女一人っきりで入って!」
と指導。すかさずミケーレさんが、
「彼女はイタリア語がよくわかんないから、僕か、彼女の友達が付き添います!」
と言ったものの、
「大丈夫、処置に話す事はほとんどありません!ただ、ダニを取るだけですから!」
と駄目出しをされてしまったのでした。
そうですね、たかがダニを取るのに、話す事は無いですものね。
仕方なく、メガネはひとり、ニコニコ顔で待ち構えるダニ専門のお医者さんの元へ、ドナドナの子牛のように歩いて行ったのでありました。

ダニ専門(多分)のお医者さんらしき笑顔の素敵なお兄さんに、
「こんにちは!」
といきなり日本語でご挨拶されてかなり驚いたメガネ。
彼の話によると、彼は日本が凄く好きらしいのです。
(以下、処置室での会話より)

「メガネ、こっちに入って!」
と処置室のドアを嬉しそうに開ける彼。
「こっちこっち、で、メガネはイタリア語少しはわかるの?」
「うん、ちょびっとだけね」
「ちょびっとね、よし、わかった」
「じゃ、メガネ!ココに寝転ぶんだ〜っ!」
と演劇のスターのように大げさな身振りで処置室の無機質なベットを手のひらでバーン!と指し示す彼。
メガネは当惑しつつも「シイ(はい)」と言ってベットによいしょと寝転んだ。
「メガネは何処出身?」
「え?名古屋の近く」
「ふ〜んそうか(何処で聞かれても反応が鈍いので、イタリアではかなり名古屋は知られてないらしい)」
「おっきな街?小さい街?」
「(説明がめんどくさいから適当で良いや)ん?ちっさい街」
「そうか、小さい街なのか」
「日本は素晴しいよね!」
と素敵な笑顔で微笑む彼。
「う、うん・・・」
と当惑顔で頷くメガネ。
そんな軽い会話のキャッチボールでコミュニケーションを図った後、本題へ。

「で、メガネは何処を食いつかれたのかな?」
「え?こ、ここ、おへその中」
ぺろりとお腹をめくって見せると、彼はメガネのおへそをしげしげと覗き込んで
「おおっ!ホントに中に入ってる!わははは!」
とかなり面白がっているご様子。何度もおへその中を覗き込みつつ、うんうん頷く彼。
あんまり見られるから、「イタリアではダニにへその中を食いつかれる人ってあんまりいないんですか?」と本気で聞きたくなりましたよ、まったく。

「じゃあ、取るからね?」
と消毒液のような物をおへそにべったりと塗られ、手術室のごとく大きなライトで煌煌と照らし出されたメガネのおへその穴。

「僕はね、日本が大好きなんだ」
「へえ」
「黒澤明は素晴しい監督だね」
「うん!よく知ってるねえ?」
「あとは、坂本龍一!」
「それから、吉本ばななも好きだよ!」
「へえ、凄い知ってるんだねえ」
相づちをうちつつも、いつになったらダニを取ってくれるんだろうと思うメガネ。
しばらくダニを観察しつつ日本談義が続いた後、
「さて、それじゃあ、いくよ?」
と、おもむろにダニをつかんだらしい彼(そんな感触がちゃんとするのですよ、残念な事に)。
すぐに取れるのかと思いきや、意外と取れない?!!
ピンセットでぐにぐにぐに〜〜、むぎぎぎぎ〜〜〜!!とかなり引っ張られている感触が・・。
しかも、ちょっと痛いんですけど!
注射器で刺されているようなジクリとした痛みがへその穴に走るのです。
噛まれている間は全然気づかない程痛みが無かったのに、引っこ抜くのは相当痛いものらしい。
最後にジクン!と痛んだ後、なんとかダニはメガネのおへその穴から抜けたらしい。
「さあ、取れた!これこれ、見て見て!」
と嬉しそうに、ウギャ〜〜〜!!と叫びたくなる程気持ちの悪〜い物体をわざわざライトにあててじっくり見せてくれた彼なのでした。
いやもう、いいから、いいから、お願いだから,気持ち悪いから早く捨てて!!

その後、消毒液をへそ周辺にベットリ塗ると、もう一度傷口をじっくり見た彼。
「よし!完璧だ!!全然残ってないよ!」
と、嬉しそう。
イタリア人の「完璧だ」は却って不安を誘うものだけれど、まあ、とにかく取れたのだから良い事にしたメガネ。うん、取れれば何でも良いのですよホントに。
「もう終わったからいいよ?」
と言われ、あっけなく処置終了!
それから、日本好きなダニ専門医の彼に処方箋を書いてもらい、彼の日本語での「ありがとう!」のお礼の言葉を聞きつつ、「ありがとう!」と大きな声であいさつし返して処置室を後にしたメガネなのでした。
いや、ありがとうって言うのはこちらなのですからね?
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待合室に戻ると、待ち受けてた心配顔の友と相棒。
「なんとか私のつたないイタリア語でも乗り切れたよ?」
と説明すると友もやっと、ホッとしてくれたご様子でした。
ダニをおへそから引っこ抜くのに、言葉は要らないってことですよ、つまり。

「イタリア語でちゃんと説明しないと!って辞書まで持ってきたのに、全然使う必要もなかったね?」
と友はニコニコ。
やっとお腹から異物が取り除けた喜びでメガネもニコニコ。
メガネが死ななかった事に相棒もニコニコ(HPで見たと言ったら「死なないよね?死なないよね?」とそればかりを心配していたのですよね(笑))。
事の展開の面白さにミケーレさんもニヤニヤ、いやニコニコ。
みんなニコニコ顔で病院を後にする事が出来たのでした。

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それから、早く薬を飲んだ方が良いだろう(なにかが発病したら困るし)という事で、わざわざ24時間やっている薬屋さんまで処方箋を持って連れて行ってもらいました。
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薬局のおじさんが言うには
「今日はダニに食らいつかれた人が凄く多いんだ」
とのこと。
イタリアって、そんな国なのですねえ・・・初めて知りました。

頂いたお薬はたった3粒。
食前に一粒を、一日一回3日分。
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3日飲めば一週間分効く抗生物質なのだそう(ちょっと怖い)。
お値段なんと、18ユーロ。とんでもないお値段でしたが、病院の治療費は何故か無料なので、仕方が無いかなと思ったメガネなのでした。
どちらかというと、このお値段にはミケーレさんの方が恐縮気味。
「高すぎる!!信じられない!たった3粒でこの値段なのか!!イタリアはおかしいんだ!ごめんね、メガネ、ごめんね?」
と謝ってくれちゃいました。
いや、ミケーレさんが謝る事じゃないし、良いんですよ。ええもう、ダニさえ取れれば良いんです。

「メガネって、こないだのプロポリス(のどのお薬)といい、今回のダニのお薬といい、イタリアに来て薬代で凄いお金使ってるよねっ」
との相棒の一言に、少なからずガーン!となったメガネ。
はいもう、恥ずかしながらその通りなのですよ。
もうね、いいの、そうなの、いいの、イタリアじゃあね災難は空から降って来るのだから、どうしようもないの,と悲しくも思ったメガネなのでした。

とりあえず、虫も取れたし、今日は引っ越しの準備なのです。
今のところ熱も出てないし、なんとか生きて行けるのではと思うメガネキョウダイなのでした。

おしまい。


あっ!そうそう、余談ですが・・・
薬局で私たちの前にレゲエっぽい頭の汚い系の人たちが薬を処方してもらってたのだけれど、そういう汚い系の人たちをイタリアでは蔑みで「zecca(ダニ)」というらしい事を全くもって知らなかったメガネ。
相棒と二人してその人たちを目の前に、
「zeccaって言葉は覚えたよね?」
「zeccaは完璧だよね」
「zeccaって言うんだもんね、うんうん」
なんて何度も何度も『ダニ・ダニ・ダニ・ダニ』連発していたようで、友をかなりヒヤヒヤさせてたらしいのです。
本当に、こんなメガネでごめんなさい。なのでした。

そして、ダニに噛まれた際は、引っ張るのではなく左まわしにねじりながら引っこ抜くのが良いのだそうですよ。
ほんとに。いつかダニに噛まれた時のための知識メモとして記憶にとどめておかれると良いかとおもいます(いや、ほんとに)。

てことで、今度はホントにおしまいなのです。


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コメント

ジスロマックスは日本ではジスロマック。三日飲んで、七日効く。副作用はあまりないが、あれば胃腸症状が多い。下痢、腹痛など。
取れて良かったね。虫。
ネットで調べたら、キモすぎだった。
笑うしか無いね。
さすがに、虫の写真は撮らなかったんだ。よかった。ホッ。

あねメガネさんこんにちは。
た、たしかに昨日少しお腹の調子が悪かったかも・・・。
あの薬のせいだったのかな(食べ過ぎとも言うけれど(笑))。
虫の写真ですか?撮りましたよ!もちろん!
でも場所が場所だったのと、気持ち悪すぎて載せられませんでした。ふふふ。

ダニ無しになって良かったですね。(笑)
確か日本の健康保険で払い戻しがきくと思うので、病院の処方箋と薬のレシートは保管しておきましょう。

イタリアの健康保険に入っている私はこの前の喉風邪のときの抗生物質は3箱9日分タダでした。

pallinaさん、こんにちは〜。
はい!ダニ無しになって良かったです!ふふふ。
その節はどっきりさせてしまって、ごめんなさいです!
ちょうど発見したばかりでパニックに陥っていたところだったので(笑)。

払い戻し効くのですか?
良い事聞きました。レシート類は全て保存しているので、日本に帰ったら手続きしてみますね?
いろいろと、教えて頂いて助かります!
9日分の薬がただというのは凄いですねえ!
でもメガネも診療費というか、ダニを引っこ抜いた料金は無料だったので、イタリアって太っ腹だなと思いました。うん。

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