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2006年04月30日

部屋を尋ねて三千里 パート3

さて、マンマへの怒濤の電話が終わった後、我々は「貸部屋あります」の張り紙を見にリッツァ(バス停の広場・ピアッツァグラームシ)へ。
友に教えてもらったのですが、ここにはシエナのいろいろな情報が落ちてるらしいんです(笑)。
「貸部屋あります」「ルームメイト募集」「バイク売ります」
などの個人的メモが、バスの待合所にべたべた貼ってあるのですよ。
もしも、シエナで物件などお探しの際は是非一度覗いてみてくださいね?
まあ、とにかくその張り紙から一件、月180ユーロ(プラス光熱費)の物件も確保。
しかし電話の相手はイタリア人、メガネがかけてもすんなりと通じるはずも無いわけで、素直にミケーレさんに助けを求めたのでした。
肝心な事が自力で解決できないのが、とっても悔しいメガネなのです。

今日のお天気は雨だったり晴れだったり変な感じ。
ここのとろ、ずうっとはっきりしない天候でさすがに気も滅入るってもんですよ。
雨粒が落っこちてこないうちに、とりあえずアパルタメントに撤退したメガネ。
ガチャリとドアを開けたところ、またしてもホリ君とそのお友達に遭遇。
「新しい部屋は見つかったの?」
と、顔を合わせるたびに何度も聞いてくれるホリ君。
いや、まだ見つからないから!
そんなに一日に何度も聞かれてもね、答えはいつも同じなの。ごめんなさい。
この週末、我が家の住人・カッティービなインテリメガネ君&マッチョ君はそろってどこかにバカンス中らしいのだけれど、何故かホリ君のお友達らしい「むさい系」の彼が代わりに住んでいるらしい。
ん〜、なんか彼を見ているとホリ君に寄生しているようで、おへその穴がむずむずかゆくなっちゃうメガネなのです。ふふふ。

そうこうしてるうち、ミケーレさん達との約束の時間に。
お部屋で時間になったのを確認してから、出掛ける用意をはじめるメガネ。
イタリア人との約束では、それぐらいがちょうどいいみたい。
日本人的感覚で約束の5分前とかに到着してたら、トータルでどれだけ待たされるか見当もつきませんもん。
もちろん、ミケーレさん達が現れたのは予測通り約束より30分後なのでした。ふふふ。
予め遅れ分を換算しておけば、全然気にもなりません。
そう、これぞ、イタリアなのです。

ミケーレさんとご挨拶が済むと、早速、家賃についてお話ししてもらうため、現大家さんのアンナさんに電話してもらったメガネ。
駐車場のすぐ脇にある電話ボックスを指差して、
「ここで電話したら?」
と言う友。
それにいかめしい顔で首を振りつつ、
「こっちの方が良いんだ!」
と、人で賑わっているバールの中へ突き進むミケーレさん。
その様子を観察しながら、
「ええっ!本気でこんな賑やかなところでかける気なの?」
と、ひっそり思うメガネ。

そんな三者三様の思惑の中、やっぱりというかなんというか・・・周りの声が煩すぎてアンナさんの話が全然聞こえないご様子のミケーレさんなのです。
それでも、一生懸命片耳を指で塞いで、
「ア〜ッ??エッ!!アアッ!????」
と顔をしかめつつ電話し続けるミケーレさん。
思わず「プッ!」と吹き出したくなるブッフォさでなのです。
0529.001.jpg

ええもう、本人は大まじめなのだけれど、端から見ているとおかしくておかしくて・・・ふふふっ。
だって、どう考えたって友が助言したように外の電話ボックスでかけるか、バールから出てかけるかした方が静かなんですもん。
それに携帯電話だったら、ちょっと外に出れば良いだけですし。ねえ?
それでも、かたくなに片耳を指で塞ぎながら、必死の形相で電話をかけ続けるミケーレさんを、素敵だな・・・と、思うばかりのメガネキョウダイなのでした。

まあ、そんな感じで、聞き取りにくい電話で頑張ってくれたミケーレさん。
アンナさんとのお話も一段落。あとは、他にもいい物件が無いか情報に従って電話するのみなのです。
「じゃあ、次は何処に電話しようか?」
と、次の物件を物色し始めると・・・。
「チンチロチロリンチロリロリン・ピョ〜ン!」と、友の携帯が突如不思議な音楽を奏で始めたのです。
どうやらそれは電話の呼び出し音らしく、慌てて友が応答したところ、アンナさんの娘さんであるパオラさんだったのです。
その内容や、
「実は今、やっぱりお部屋があるのだけれど・・・」
との事。
「えええええ!!!」
と驚く4人!
だってだって、そうですよ!
今、今さっき、アンナさんと電話して「部屋は無いのごめんなさいね」という話を聞いたばっかり、ホヤホヤなのですよ?まったく!
しかも、今朝パオラさん自身も「部屋が無くてごめんなさい・・」なんて言っていたのに〜いたのに〜いたのに・・・・・・。
もう!信じられない!!こんなに突然空き部屋ができるわけないじゃない!!!
でもまあ、ここはイタリア。不思議な事は毎日起こって当たり前の国なのです。うんうん。
そんなわけで、しとしと降り始めた雨の中、濡れるのが大嫌いなためご機嫌急降下中のミケーレさんと一緒に、急遽部屋を見に行く事になったメガネキョウダイなのでした。ふうっ!
なんでこうすべからく急展開なのでしょうか・・やれやれ。
(ああ、長い!長過ぎる!!書くのも大変すぎるのだ!!(笑))

アンナさんの持ち物であるその部屋は、チェントロから離れたポルタ・トゥーフィーから900メートル程の距離にあるそうなのです(メガネが聞いたの距離はキッカリ2キロだったのですけども、まあ、900メートルから2キロの間の距離という事で(笑))。
わざわざ車でお家まで来て下さったアンナさんと、とっても話し好きならしい旦那様のご案内で、お部屋に入ったメガネご一行様。足を踏み入れた瞬間に、
「まだ新しいにおいがする・・・」のですよ。
そう、その部屋はまだ新品ピカピカだったのです!
というか、新しすぎて、まだガスもちゃんと使えない状態?!というか、作り中???マンマミーア!
2階部分まであるそのお部屋は、メガネが借りるとしたら二人だけになるそうで、
広くて綺麗で、真新しい、なかなか素敵なお部屋だったのです。
これには、メガネ達よりもミケーレさんの方がノリノリで気に入ったご様子。
「綺麗だ・・・良いねえ・・・これは良いよ・・・」
と終止ご満悦な感じでした(笑)。
しかし、お料理好きの相棒にはガス台が無く、食器も無さそうで、鍋類も見当たらないというのは大きなマイナス。
場所も遠いし、その分景色は素敵なトスカーナ!という感じで可愛らしいのだけれど、ん〜〜〜。という感じなのでした。
それでも、ノリノリのミケーレさん、
「ガスが必要だったら、僕のガスボンベで使えるレンジ台を貸して上げるよ!」
「大丈夫、きっと使っていいって言ってくれるから!」
と力強く言ってくれるのでした。ん〜ガス台があればここも素敵・・。
ノリノリのミケーレさんをよそに、とりあえず、「保留」という事で次の物件を探す事にしたメガネキョウダイなのでした。
ごめんね、ミケーレさん。

そして再び車でシエナへとんぼ返りしたメガネ。
今度は、6年前の恩師であるカテリーナに聞いた物件を当たってみる事に。
またしても騒々しいバス停の電話機を使って、片耳を塞ぎつつ、
「アア!??エエッ!??」と声を張り上げるミケーレさん。
0529.002.jpg

それを、微笑ましく見守るメガネ。ええもう、何も言いませんとも(笑)。
そしてそして、また別の物件を一件発見。
部屋を見に行く段になって、友が急用で退場。
不安ながらもミケーレさんと三人だけでお部屋訪問へ出掛けたのでした。

途中、ミケーレさんのお友達のお店にパンをもらいに寄ったのですが・・。
ミケーレさん!
誰も何も聞いていないのに、メガネの方を指差して、おもむろに
「彼女はこないだzacca(ダニ)におへその穴を食らいつかれちゃってね!」
なんて自慢げにお話し始めるではありませんか!!
マンマミーア!!
なんでそんな話を突然するの!!しっ、しかも、メガネのとっても恥ずかし話を!!
あまりに急に頭に血が上ったメガネ、とっさにミケーレさんの背中を思いっきりバチコーン!!と、ぶっ叩いてしまいましたよ!まったくもう!!
叩いたメガネがビックリですよ!
話を聞いていたお友達も目をまんまるにしてビックリですよ!(笑)
それで話をやめるのかと思ったら、
「メガネ,怒ったの?ごめんごめん!それでね!聞いてよ!」
とまだまだ話を続けやがったのですよ!??もう!!
その後お友達に、
「それで、zeccaの傷は大丈夫?アレルギー症状は出てないの?」
なんて真剣に心配されて、真剣に恥ずかしくて即刻穴を掘って埋まりたくなったメガネなのでした。まったくほんとに!もう!!

そうこうしつつ、ミケーレさんと新物件にようやくたどり着けたメガネ。
対応に出たのは、見た目も声も、ボッテリ・ダンディといった容貌のテノール歌手もどきなおじさまなのでした。
そのおじさまが部屋の案内をする前に、その部屋の事をテノールなお声で「ああ、あの『ベッキア(古い)』ね?」と呼んでいたで、ちょっぴり嫌な予感がしたメガネ。
「古い家だったらどうしよう・・」なんて思ったりして。
でもよく考えたら、2.300年前なんて新しい部類、「古い」なんてもんじゃない家ばかりが建ち並ぶ中世の街シエナで、そんな事真剣に悩んだメガネって・・(笑)。
テノールなおじさまが見せてくれたお部屋は、ちょっと狭くはあったものの、とても綺麗で、後から聞いた話によると部屋のための小さなお庭までもあったらしいのです。
でも、この部屋が空くのは6日から。それまでは1日20ユーロのお部屋に泊まらなければならないと言われたメガネ。
そしたら、トータルで余分に100ユーロかかってしまうという事?!!
それはさすがにん〜、なのです。
20ユーロで泊まらせてくれるという、とっても綺麗らしいお部屋には興味があったものの、「うん」と言えないメガネなのでありました。

部屋を見せてもらった後、またテノールの紳士の家へ戻ったメガネ達。
何気なく、床を見ると、床全部が先日お話しした、とっても貴重な大理石であるジャッロ・ディ・シエナだったのです。素敵!
それを目敏く発見したミケーレさん、お次は階段脇にある水盤に吸い寄せられて行ったのでした。
そうして、その水盤の細工をしみじみ眺め、手でさすりつつ、テノールの紳士と何やら話し始めたご様子。
しかも、なんか二人でやけに盛り上がってますよ??
手続きの話を聞きに紳士のお家に来たものの、そんなお話はかけらも出る様子がありません。
あれれ?なんかミケーレさんが自分のお仕事のお話を始めてる??
えっ??め、名刺渡してますか??
え?あれ??メガネのお部屋探しのはずが、いつのまにやらミケーレさんの仕事探しのお話へ綺麗にシフトしてますか??あれれ?(笑)
どうもミケーレさんこのお家の調度品がいたくお気に入りなご様子、自分も何かしら仕事をしたいと必死にアピールしている模様です。
そのうち、この家のボスらしきゴージャスなおばさまが登場。なんか、ちょっと怖そう。
それでもひるまず、自分のお仕事を売り込むミケーレさん。う〜〜ん、凄いです。
もう、我々の存在は忘れ去られてしまったのね・・・と思っていたところ、ゴージャスなおばさまが、料金についての詳しいお話を始めてくれたのですが・・・。
「貴方達は、日本人ね?日本人は私とっても好きなのよ!だってね、日本人は3つの言葉を操るでしょう?(漢字・ひらがな・かたかなのことらしい(多分)。
だから、初めは全然話せないのに、2ヶ月経ったらイタリア語がペラッペラになってるのよ!!」
と断言!
「えええ!!いや、そんな事無いですよ・・」
と否定しようものなら、
「いいえ、そうよ!たった2ヶ月で完璧なイタリア語を話すのよ!」
と、またしても断言!
ええっと、その2ヶ月を遥かに経過しても幼稚園生以下のお話しか出来ない日本人が目の前に二人程いるのですが・・・・・。
何を言っても聞き入れてくれそうにない、ゴージャスおばさま、その彼女がミケーレさんと同調!メガネキョウダイが、よく理解できないうちに、いつのまにやらお部屋の話からシエナの歴史や伝説の話にまで話が発展したのでした。
それはシエナの起源に始まり、そのお家がある場所が一番古い地区なのだというはなしになり、ローマとシエナとの深いつながり、シエナの地下水路の話、はたまた、伝説にもとづいたシエナ伝記に至るまで、延々と(ええ延々とね、1時間ぐらいかな?)彼女は語りまくってくれたのでした。
最後には、おばさま秘蔵のフレスコ画まで登場。お家の中にフレスコががバーン!!!ってあるんですよ!凄い凄い!!
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気づけば、大自慢大会です!(笑)
ミケーレさんと居ると必ず耳にする、古代エトルリア人のお話まで、もう盛りだくさん!ミケーレさんもノリノリであおるものだから、彼女の意気もあがりまくりです!
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私たちに貸す予定のお部屋の地下には大きな穴があって(冷静に考えると怖いのですが)、そこは常に温度が一定にたもたれているのだとか、シエナの水道施設の素晴しさとかを、大きな身振り手振りを交えて、まるで演劇の人みたいな雄弁な語りぶり。
なんやかんや言ってメガネも彼女の話に引き込まれ、感動するやら、手を叩くやら、たまに質問までしちゃったりして。
楽しみまくってしまいました。ふふふ。
ローマとシエナの紋章は色が違うだけで同じなのは、昔の伝説に基づいていることや、ローマの紋章の色とシエナの紋章の色にはそれぞれ意味があるとか、オオカミにすがる子供達の像もまったく同じということで、似てるところが凄く多いのだとか・・
「うんうん!それでそれで!!そ、そうなのか!!!」
と驚く事ばかり。
なんだかシエナの起源の講義をたっぷり聞かせて頂いたようで、すんごく得した気分になったメガネなのです。
それもこれも、みーんな、ミケーレさんのお人柄のお陰なのですよねえ。
ホントに楽しいひと時でした。ええもう、そのお家をおいとました時には既に日がとっぷりと暮れていたとしても、とっても嬉しかったです!本当に!!(笑)
でも、肝心のお部屋を見に行った事自体はもうかすんで消えてしまいそうなメガネ。
ん〜、ここも素敵だったし、ゴージャスさんの講義ももっと聴きたいんだけどな・・・。

「いつでも相談事があったら、気軽に言ってね!??」
という言葉を残し笑顔で去って行ったミケーレさん。
貴方の優しさにメガネは感謝しきれない程助けられています、どうもありがとう!
時計を見れば、夜の9時過ぎ。
もちろん、夕食はまだ食べてません。
ですから、あとはリストランテでまったりと。
ミケーレさん宅に滞在した数日で鍛えられたのか、「イタリアのお食事時間」にかなり慣れたメガネ。
9時からのお食事だって、問題なくおいし〜くいただいたのでした、はい。ふふふ。

なんか明日には部屋を追い出される身の上なのに、結構お気楽に楽しんでいるメガネ、これで良いのか〜っ!
こんな切羽詰まった状況でリストランテのお食事を楽しむなんてイタリア人になってきたな・・・と満足げに頷いたメガネキョウダイなのでした。
ああ、満腹満足!

明日は4時からマンマの家へ・・
はてさて、どうなることやら・・・。
お部屋を追い出されるまであと1日!
メガネの宿は果たして決まるのか否か!!

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