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2006年05月08日

メルカートのある昼は・・・中編

鳥の丸焼きの半分も買ったし、スペアリブも買ったし、フリットも買ったし、モッツァレッラも買ったし、お昼はゴージャスになるね?と、ホクホク顔でメルカートを後にしたメガネキョウダイ。
両手にガサガサお買い物袋を下げながらバス停まで歩いていると・・。
「あっ!!あのバスだよ!10番来てるよ!10番!!」
ちょうど帰ろうと思った瞬間にバスがやって来るなんて、とってもラッキー!などと思いつつ、喜びもあらわに袋をガッサガサ言わせながらバスまで走ったメガネ。
乗る前にも「よし、10番だね!行きに乗ったバスだね?」
と、ちゃぁんと確かめました。うんうん。イタリアのバスでは油断は禁物ですからね。
そうして、10番、「サンミニヤート行き」のバスに乗り込み、ふぅっと一息ついた二人。

がたがたがたがた、バスは右に左に激しく揺れながら猛スピードでチェントロを飛ばします。どこかにがっちりつかまってないとひっくり返ってしまう程の激しい揺れに必死の形相で耐えるメガネ二人。
おりしも、今日はメルカートの日。バスの中は買い物帰りのイタリア人でほぼ満員状態。
そんな、人でごった返したバスのど真ん中にて、ガッサガッサと揺さぶられ続け、ほのかな芳香を放ち始める相棒の袋。
そう、そこには鳥の丸焼きの半分やスペアリブなどお楽しみ商品が満載。そんなホカホカなお肉達が、見事な香りのハーモニーを奏で始めたのです。
マンマミーア!!

がたがたがたがた!
ガサガサガサガサッ!

激しく揺れれば揺れる程、香りもどんどん充満し始めるバス。
初めは気づかなかったイタリア人達も、「なんだこの素敵な香りは??」と、徐々に気づき始めたよう。
そりゃあね、お昼時直前の空腹時にこれほど香ばしくてオイシソ〜な匂い、気づくなと言う方が無理ってもんですよ、うんうん。
2006.05.03.0001.jpg

「メガネ、メガネ、どうしよう・・なんか匂いが凄いんだけど」
と焦りまくる相棒。
「と、とりあえず、袋の口をひっちばって置けば大丈夫だよ!」
と気休めを言うメガネ。
かくいうメガネの袋にはモッツァレラやスリッパ、エプロンなど、香りを一切放たない品ばかり。
「どうしよう、ねえ凄く匂うと思うんだけど・・・なんか見られてる気がするんだけど」
とますます焦る相棒。
「いやいや、大丈夫だって!」
と実際は「かなり匂うな」と思いつつ、やはり気休めを言うメガネ。
そして
「それに、私たちすぐ降りるし、メルカートの後なんだから誰も気にしないよ!」
と慰めも忘れないメガネ。

そう、メガネ達のアパルタメントはチェントロから黄色いトラムバスで15分程の距離。あと5分もしないうちに降りるのだからノンチェ・プロブレーマ(問題無し!)なのです。

がたがたがたがた!
ガサガサガサガサッ!
がたがたがたがた!
ガサガサガサガサッ!
ますます充満する良い香りに、冷や汗をかく相棒。

2006.05.03.0002.jpg

メガネのアパルタメントまで、あと少し・・・・

チェントロから出たバスは一路メガネのアパルタメントの方面に向かう・・・向かう?・・・向かうんですよね??
「あ、あれ?あれれれれっ!??」
なんかギュッって90度右に折れました?
「あれれれれっ???」
なんか、このバス駅の方に行ってません?
アパルタメントはそっちじゃありませんよ?反対反対!運転手さーん!!

車窓から静かに外を眺めつつ
「なんか、嫌な予感がする」
と、メガネ。
「なになに、ど、ど、どんな予感?ねえ、どんな予感?」
と、相棒。
「うん、なんかこのバス、もしかしなくてもサンミニアートに向かっているのかも・・」
と、メガネ。
「えええええっ!!!」
と驚く相棒。

ええ、メガネだってビックリ仰天ですよ!
確かにバスの上には「サンミニアート行き」とは書いてありましたが、行きのバスがそれなんだから、帰りもその名前でお家の前を通ると思うじゃないですか!!
しかししかし、そうは問屋が卸してくれなかったのです。
マンマミーア!
10番の黄色いバスはメガネのアパルタメントのある方向に向かうどころか、ほぼ正反対に曲がって一路、チェントロから遠くはなれた駅を通り越し、さらに遠くはなれた病院のある(ええあの、zeccaでお世話になったシエナの外れにある病院です)サンミニアート地区まで迷う事無く突き進んだのでありました。
OH!!Dio!Dio!!

乗るバスを間違えたのだと気づいた時にはもう遅く、
あとは、バスの行くまま気の向くままに乗って行くしか無いメガネ。
ますます充満する鳥の丸焼きの半分とスペアリブとフリットの匂い。
そして、集まる注目・・・。
哀れメガネキョウダイは、イタリア人の目を引きつつも、終点のサンミニアートまで小さく小さく縮こまりつつ、バスに揺られつづけたのでありました。

それから数十分後、突如ガクン!ギーッ!!っと停車するバス。
どうやら終点に到着したらしい。
さっきまで満員だったのに一気に空っぽになった車内。
いったん降りてタバコをぷかぷか吸うおばあさん。
新たに乗りこもうとしている客と楽しく談笑する運転手。
キツい日差しに「モッツァレラ大丈夫かな」と思うメガネ。
イタリア人の厳しいまなざしに疲れきった相棒。
そして、冷めてしまった鳥の丸焼きの半分。

春の日差しが照りつける、トスカーナの丘陵に鳥のさえずりとともに停車し続けるバス。
彼が再びエンジン音を取り戻したのは、それからかれこれ10分後のこと。
そうして、行き先を「サンミニアート」から「ベルベデーレ」に変更した黄色い10番のトラムバスは、またしても激しい揺れと猛スピードでチェントロまで一直線に引き返して行ったのでした。
もちろん、zeccaでお世話になった病院も通りましたとも!

メガネが正しく理解したところによると、このバスは「サンミニアート」と「ベルベデーレ」をチェントロを中心にして行き来する形態だったらしいのです。そのうえ、バス停の乗り口も、ほとんど同じというわかりにくさ。
タダでさえも、わかりにくいイタリアのバスなのに、そんな複雑な動きをしないで下さい!もう!
ええ、もちろんちゃんと用心しなかったメガネが悪いのですけどもね。はい。

いまだ人で賑わうフォルテッツァを眺めつつ、
「はははっ!メルカートに戻ってきちゃったよ?」
もう、笑うしかないメガネ。
「本当にこのバス、家まで帰る?このまま乗ってて大丈夫??」
と再び鳥の丸焼きの半分の香りをバスに充満させつつ、疑心暗鬼になる相棒。

がたがたがたがた!
ガサガサガサガサッ!
がたがたがたがた!
ガサガサガサガサッ!

バスは揺れるよ何処までも・・・。

こうして、空腹で死にそうになりつつメガネがアパルタメントにたどり着いたのは、バスに乗り込んでから約1時間後、午後2時頃のお話。

アビアモ・ファット・ウン・ジーロ・コン・ラウトブス・ヌメロ10。
    「私たち、10番のバスと周遊してきました」
(同居人にそう言ったら、たいそうウケたとかウケなかったとか)

皆さんも、イタリアでバスに乗る際は、バス停の確認には充分気をつけましょうね?
でないと、メガネのようになりますよ?ふふふふっ。
おしまい。

って!待った待った!!肝心のご飯がまだですよ!
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