« トスカーナの家 3 | メイン | 発表会に行こう! 中編 »

2006年05月09日

エトルースキの教会とは

さてさて、おとといの夜のこと。
友から
「一緒に夕食でもいかがですか?ミケーレさんおすすめのオステリアがあるんだけど。」
とのメールが舞い込んでききたメガネ。一も二もなく
「行く行く!!行きます!ボレンティエリ(よろこんで)!!!!」
と即答したのは書くまでもありません。

そうして、昨日の夜7時に迎えてきてくれたミケーレさん達。
早速車に乗り込んで、一路その「美味しいと評判らしいオステリア」に直行か・・・と思いきや?
くねくねとトスカーナの丘陵地を車で飛ばすミケーレさん。

「ここここ!ここだよ!」
0507.002.jpg

と嬉しげに車を停めてくれのは、オステリアではなく、何故かひなびた教会の前。

友曰く、
「なんかね、ここの教会を二人に是非とも見せたいらしいの・・・」
とのこと。
そういう事なら喜んで見学させて頂きますぜと、先を急ぐミケーレさんの背後から手下のようについて行ったメガネキョウダイ。

0507.001.jpg

こちら、
「Pieve di San Giovanni Battista a Ponte allo Spino」
ポンテ・アロ・スピーノ教会。
場所は・・シエナから車でほんのり走った先あたりにあります(多分)。
こじんまりした教会ですが、見た目も可愛らしくすぐに気に入ったメガネ。
ミケーレさんお気に入りのロマネスク調の建物だそう。
かなり古いものらしく、ところどころ崩れてきそうな感じなのです。

「じゃあ!行こうか?」
と、ずんずん突き進むミケーレさん。
「なんか戸が閉まってない?」と友。
でもミケーレさんはそんな事、全くもって気にしません。
目敏く管理人らしき恰幅の良さげなおばちゃんを捕まえ、鍵を開けもらう事に。
ん〜、素早いよミケーレさん。

0507.003.jpg

ギイイイッと重々しい扉を開けると・・・
中は真っ暗闇(笑)。
そこに、ずんずん突き進んだのは、先ほどの恰幅の良いおばちゃん。
「暗いからね、今明かりをつけてあげる。でも明るくなるのにずいぶん時間がかかるからね」
とのこと。

0507.004.jpg

言葉通り、ジジジッ、ジジジッと、ゆっくりゆっくり明るくなるのを待ちながら、ミケーレさんの石についての講義の始まり、始まり〜。
これももう、定番という感じで聞き入るメガネ。

0507.013.jpg

ここの教会は、ほんとにとってもとんでもなく古い建物だそう(実はメガネ、写真を撮るのに夢中で講義の前半をよく聞いてませんでした、ごめんね、ミケーレさん。まあでもとにかく信じられないぐらい古いらしいのですよ、この建物は)。
その建築様式は古代ロマネスク調なのだそうです(多分)。

0507.006.jpg

ミケーレさんに指差されるまま、目を移すと、所々に古めかしい彫像が。
「あれあれ!あの彫像なんか素敵でしょう??
今僕が作っている・・ほら、メガネ達もこの間見たエトルースキの彫像と、ところどころ似ているでしょ?」
と鼻息荒いミケーレさん。

「エトルースキ」とは古代エトルリア人の事。日本人的感覚でいくと「縄文人」とかの古代人の事なのです(凄く簡単に説明してますからね、間違ってる!とか指摘しないで下さいませね?)。
まあ、とにかくその「エトルースキ」については激しく自慢ならしいこの地方のイタリア人達。
もし、イタリア人と会話している際「エトルースキ」のお話が出たら「なにそれ?!!」と思っても「凄い!凄いですねっ!!」と感心を示すのが吉です。
とにかく自慢らしいので、「素敵です!」と同意すれば、「そうだろ?そうだろ?」と、ご満悦間違い無し!なのです。はい。ホントに。

エトルースキの彫像の話で一人盛り上がるミケーレさんに、
「ほんとだ!凄い!凄いねえ!」
と規則に法って感心するメガネ。
「そうでしょ、凄く素敵なんだ・・・」
とさらに鼻息荒く、夢見心地のミケーレさん。

・・・本当に好きなんだね、エトルースキが・・・。

実はメガネ、ミケーレさんに会うまで「エトルースキ」の「エ」の字も聞いた事が無かったのですが(もしくは記憶に残らない程度にしか聞いてなかった)、ミケーレさんと出会い、「エトルースキ」について血走った眼で猛烈に語る様子をかいま見て以来、何の呪いかはたまた魔術か知りませんが、2日に1回ぐらいの割合で、イタリア人の口から「エトルースキ自慢」を聞くようになってしまったのですよ!
マンマミーア!
メガネの同居人である2人のラガッツェたちまでもが、エトルースキについて熱く語り出すではありませんかっ!
「ええっ!こ、この人たちまでっ!!」
と驚くやら、おかしいやらでもう大変です。
ここまで来ると、逆に感心するというかなんというか、「エトルースキ」という単語を聞いた瞬間にブッ!と吹き出しそうになってしまうメガネ。
だって、日本人は「縄文人」についてそんな自慢なんてしませんよねえ?
それがもう、イタリア人は熱い!熱いのです(笑)。
現在メガネは「真剣にエトルースキを語るイタリア人」を前に笑いをこらえるのに必死です。

まあ、とにかくそんなエトルースキ自慢をなにげに聞きつつ、教会内をしげしげと見学。

0507.005.jpg

この、奥の方に見える細い細い、窓みたいなところ、わかりますか?
この部分には先日行ったアラバスターの石が使われてます。

0507.007.jpg

後ろから見るとこんな感じ。ほんとに石なんですねえ・・。
まだ、ガラスが無かった時代、透明度があり、なおかつ光を通すぐらい薄く削れる石であるアラバスター石がガラス代わりにこのような場所にはめ込まれたのです。なるほど。

0507.009.jpg

一通り、見学を終えると、今度は外にある井戸に。
中をのぞくとそれなりに深くて怖いのです。
その井戸の周り、まあるく取り囲んでいる部分に幾筋もの線が入っているのがわかりますか?
0507.010.jpg

これこれ、この溝ですよ、そうそう。
我々がこの溝に興味を示しているのを鋭く嗅ぎ取ったミケーレさん。
即座に溝を指差して、
「これは、昔の人たちが何度も井戸の水を桶で汲んだ際に出来た溝だ」
と断言。
「えー!!そんなわけないよ!」
と即座に否定する友。
「うん、そんなわけないよ」
とひっそり友に同意するメガネ。
だって、井戸の周りにこんなに痕がつくわけないじゃない。
そんな、友の意見が気に入らなかったらしいミケーレさん、
「いいや!そうだ!ぜったいにそう!これはね、昔の人が何度も何度も桶の水を汲んで、その引っ張った痕でこうなってるんだ!」
とまたしても断言。
「えー!そんなわけない!これは飾り彫りだよ!」
とまたしても否定する友。
「うん、そうだよ」
とひっそり思うメガネ。
それでも、ミケーレさんは自信満々に、この溝について語り続けるので、
「だから、絶対違うって!」
と改めて否定する友。
「私もそう思う」
と今度は声に出して加勢するメガネ。
二人の日本人ににべもなく否定され、「うっ」と行き詰まったミケーレさん。
これで、日本人の勝利ね、と思いきや,

「いや!それはね、昔の人が井戸の水を汲んだ際にできた溝だよっ!」

と背後からしゃがれた声が。
「えっ?」と顔を上げると、先ほどの管理人のおばちゃんが、自信たっぷりの顔で立ってるではありませんか。
思わぬ助けを得て、水を得た魚のようにビチビチと生き返ったミケーレさん。
「ほらほら!そうだよ!彼女もそう言ってるでしょ?
これはね、水を汲んだ時に出来た溝なの!信じなよ!ね?」
と、これまた自信たっぷりに宣言。
これにおばちゃんも「そうだ!そうだ!本当だよ!」と加勢。
「ここの教会は、とんでもなく昔にできた教会なんだよ?わかるかい?
それだったら、石だって、エエッ!削れるってもんだよっ!」
と、最後の審判を下したのでした。
嗚呼、哀れ日本人二人は「そうかな、絶対違うと思うんだけど」と思いつつ、「そうかもしれないね」と渋々同意するしかなかったのでありました。
・・・絶対、違うと思うだけど。
0507.016.jpg


0507.011.jpg

裏に回るとこんな感じ。
全体の雰囲気はフランスっぽくて素敵なのです。
うん、この教会は気に入ったな・・。

0507.012.jpg

そして「僕はこの教会を愛してるんだ」と教会にがっちり抱きつくミケーレさん。
それをバシャリと撮ると
「僕を撮るのは駄目だよ!!」と猛烈に嫌がるそぶり。
それを見ていた友が
「でもね、うれしいんだよ、絶対。今ね撮ってもらおうとしてわざとしたんだよ?きっと。」
とボソリ。
思わず、笑いがこぼれてしまうメガネ。
ミケーレさん、撮られるの凄く嫌がるくせに、次の日絶対インターネットで自分の写真をチェックしているらしいのです。日本語も読めないくせに(友談)。
ふふふふふ。
妖精ミケーレさんは、なんだかとっても可愛らしい人なのですよね。

0507.014.jpg

「そうなんだにゃ!」
「ぼくも、そう思うニャ!」
0507.015.jpg

「いや〜〜〜ン!!」
「恥ずかしいから拡大しないでニャ!」
と、この教会の主らしい彼。
こっそり隠れてはいたものの、ずうっと我々の動向を見守ってくれてました。


さて、教会もじっくり見たし、ミケーレさんのお陰でいっぱい笑えたし、それじゃあ、そろそろ行きますか?
ということで、やっとこ、おすすめならしいオステリアへ出発と相成ったのでした。

続きはこちらから!

トラックバックURL

このエントリーのトラックバックURL:
http://www.meganekyoudai.com/lolipo_cgi/mt/mt-tb.cgi/100

コメント

I can’t stand the way some people express their mind – it sound terrible. Is a lot of cussing necessary, guys?

I like your blog, this post is really good, but please vary your topics, it will broad your readership.

コメントする